リエンジニアリング・プロジェクトによって、数カ月(時には数年)にわたり、業務の再設計を細心に進めた結果、各業務プロセスは飛躍的に改善した。しかし、全体の業績は依然として下り坂のまま……。

 今、このような逆説的な結果に苦い思いをしている企業が続出している。

 例えば、あるコンピュータ・メーカーでは、財務部門のリエンジニアリングにより、事務処理コストを34%削減したものの、営業利益は急減の憂き目を見ている。また、ある保険会社では、保険請求業務における案件の処理時間を44%短縮したが、やはり利益は減少している。

「20%のコスト削減、50%の時間短縮、25%の品質向上……」といった経営陣の公式発表とは裏腹に、事業部門のコストは上昇し、利益は先細っていく。

 要するに、事業全体に収益インパクトを与えないプロジェクトに、経営陣の努力やその他の貴重な社内資源をむやみに浪費している企業が、あまりにも多いということにほかならない。

 いったいなぜこんな悪状況に陥っているのか。

 リエンジニアリングが飛躍的な業務プロセスの改善をもたらしうることは事実であり、今も大規模なリエンジニアリングのプロジェクトが世界中で進められている。にもかかわらずこんなあり様なのだ。

 本稿では、このような現状認識を踏まえて、リエンジニアリングの成果を本当に収益へと結び付ける方法を考えていきたい。

リエンジニアリングを浸透させる6つの必要条件

 このテーマに取り組むため、我々は100例以上のリエンジニアリング・プロジェクトを調査し、そのうち20例については詳細な分析を実施した。

 その調査・分析で明らかになったことは、リエンジニアリングの計画・実施が、実際にやってみると非常に困難な作業であるということ、また、冒頭に述べたように、事業収益にインパクトを与えられなかったケースが非常に多いということである。