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経営者の多くは、組織図を何度も書き替えるなど、会社のリストラに力を注いでいるが、結果は満足のいくものとはなっていない。それは、会社の実際の仕事の多くが、フォーマルな組織とは関わりなく処理されているからである。注目すべきは、インフォーマルな組織、すなわち、従業員が仕事を早く処理するために担当や部門を越えてつくっている個人的関係のネットワークである。インフォーマル・ネットワークは、主体性の発揮されない始動段階を飛び抜け、きつい締め切りに間に合うよう、フォーマルな報告手続きを通さず仕事を処理してしまう。しかし、管理者がその存在を確認し管理する方法を知らなければ、インフォーマル・ネットワークは、コミュニケーションを阻害し、変革への抵抗を助長して、会社の最善の施策をいとも簡単につぶしてしまう。このソーシャルな輪をマップ化する方法を学ぶことにより、管理者は会社の真のパワーを引き出し、インフォーマル組織が力を発揮するようにフォーマル組織を改革することができる。
フォーマル組織が会社の骨格とすれば、インフォーマル組織は中枢神経ともいうべきものだ。そこでは、組織単位における思考過程、行動、反対行動の統合が図られる。フォーマル組織は、標準的な生産様式が支障なく動くように設計されているので、予見しやすい問題は処理できる。しかし、予見していなかった問題が生じた場合には、インフォーマル組織の出番となる。この複雑に織り成す蜘蛛の巣状のソーシャルなつながりは、毎回のように仲間内でのコミュニケーションを形成し、それを何度も重ねて驚くほど安定的なネットワークをつくりあげていく。インフォーマル・ネットワークは極めて適応力に富むため、縦横無尽に動き、すべての担当を飛び越えて仕事を成し遂げてしまう。
これらのネットワークがどのように動くかを知っていると自慢している管理者を見受けることがある。技術的な問題ではだれに相談したらよいか、昼食時にだれが社内政治の話をしていたかを知っていると言う。しかし、これがけっこう間違っていることに驚かされる。自分に最も近い5~6名の社交の輪は正確に図解することができるかもしれないが、自分の直近グループ以外の従業員に関しては、たいてい想定から外してしまう。最も鋭敏な神経を持つ管理者でさえ、従業員が一日をどのように過ごすか、同僚をどのように見ているかに関して重要な情報を欠いている。管理者は一度にどこにでも現れるわけにはいかないし、また、人の心理を読めるわけでもない。それで、自分の感じ方が正しいかをチェックすることができぬまま、表面上の観察をもとに結論を出さねばならないのである。
間違った情報で武装したまま、管理者はしばしばこれらインフォーマル・ネットワークをコントロールするために、伝統的手法を頼ることになる。ある管理者は、自分の肩書が持つ権威はインフォーマルなつながりに優先すると考える。そして、意のままに動かせないグループの存在を恐れるあまり、インフォーマル・ネットワークの働きを妨げるような厳格なルールをつくり出す。また、情報を提供してくれる内部告発者を見つけようとする管理者もいる。もう少しましな管理者は、こうしたグループに狙いをつけて近づき、自分の従業員と「知り合いになる」ため、グループからの脱退者をもてなそうとする。しかし、このようなアプローチではこの自由奔放なネットワークを制御することもできなければ、どのような姿であるかを正しく描き出し管理者に説明することもできない。
しかしながら、ネットワーク分析を用いれば、管理者は、無数にある関係の絆をマップに写しとることができ、インフォーマル組織がどのように仕事を片付けるかを表すことができる。3つのタイプの関係網をダイアグラムにすることにより、全体像がかなりよくわかるのである。
□アドバイスのネットワークは、人々が問題解決の際頼りにし、また、技術面の情報を提供してくれる、組織の中での秀でた存在を示す。
□信頼のネットワークは、どの従業員同士がデリケートな政治情報を共有し、困難な事態においてお互いを支え合うかを教えてくれる。
□コミュニケーションのネットワークは、仕事に関する事柄を定期的に話し合っている従業員を明らかにする。
これらの関係を表すマップは、管理者が以前は避けようとしていたネットワークを正しく理解し、さらに、組織上の問題解決のためにこのネットワークを積極的に活用するのに役立つ。我々が研究した会社をベースに仮称を用いて作成したケース・スタディーは、管理者がどのようにネットワークの強みを生かしたか、インフォーマルなネットワークを補完するためフォーマル組織をどのように再編したか、また、会社の目標に沿って働くよう不完全なネットワークをどのように「張り替え」てきたかを明らかにする。
ネットワーク分析のステップ
窓口係の退職率が80%あったある銀行での研究を通じて、12年前にインフォーマル・ネットワークの重要性を知ることとなった。聴き取り調査により、窓口係の退職理由は銀行のフォーマル組織より、彼らの信頼のネットワークにおける中核となる人物との関係に深く関連していることが明らかになった。これらの人物が辞めると、他の窓口係もその後を追いかけて行ってしまったのである。



