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アメリカの競争力の減退は、いったい、だれの責任なのか。調べてみても、スケープゴートが出てくるばかりでいっこうにラチがあかない。ジャーナリストや政治家たちは、この問題は、企業の取締役会に責任があると判断している。現在でも、厳しくアメリカ企業を監視していれば、結果として企業の業績が向上するとだれもが信じているようだ。しかし、これで話はおしまいである。
ハーバード大学のウォルター・サモン教授は、『灰色の経営責任は自らの変革をもって償え』(DHB誌本号掲載)で、取締役会の活動に実践的な改革案をいくつか提案した。サモン教授の提案は、この誌上フォーラムに対して基本的問題を投げかけている。もちろん、他の専門家たちは、利害に左右されない社外取締役をもっと多く任命し、彼らの役割を拡大させることを精力的に訴え、サモン教授の主張に加わることだろう。しかし、専門家の中にも、取締役とCEOとの関係が飛躍的に改善されれば、取締役会はより有効な組織として機能すると信じる者もいれば、あるいは、取締役会と株主との関係を重視する者もいる。
こうした議論の根底には、アメリカ企業のコーポレート・ガヴァナンスの基本となる思想的なアプローチが2種類存在する。
1つは、市場原理に基づくアプローチであり、SEC(証券取引委員会)のリチャード・ブリーデン委員長がその急先鋒にいる。
もう1つは、アメリカ企業のガヴァナンスのシステムをドイツや日本に類似したシステムに変革すべきとするアプローチである。このアプローチは、ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が指導的立場にある。
この主張については、彼のHBR誌での論文『投資システム改革への提言』(Capital Disadvantage: Americans Failing Capital Investment System、DHB誌3月号に掲載)の中で明確にされている。
取締役のガヴァナンス参加を合法的に強化せよ
SEC委員長
リチャード C. ブリーデン
マイケル・ポーター教授は、1992年のHBR誌の9-10月号で、「資本市場の要求から、アメリカの経営者は短期主義の経営をせざるをえない。それゆえ、アメリカ企業は国際的にますます競争力を失っている」と主張している。いまではお馴染みとなったお話である。
彼は、「確実にウォール・ストリートのアナリストたちを喜ばせるものは、自社の四半期の収益であるため、経営者は、例えば、研究開発投資のような健全な意思決定ができなくなっている」と言っている。
ポーター教授らは、想像の世界で起こっているような問題を解明するために、アメリカ流のコーポレート・ガヴァナンス・システムを、日本やドイツのようなシステムに取り替えることを提案した。
彼の言うとおり、日本やドイツのシステムの場合、アメリカに比べてはるかに株主の数こそ少ないが、「長期」志向の株主が多い。特にドイツでは、多くの大銀行やその他の機関が、取締役会で積極的な役割を果たすケースが非常に多いばかりか、資本へのアクセスの決定にも門番のような役割を果たしている。



