多くの企業における効率向上運動が経営結果や財務上の結果に与える影響は、雨乞いの儀式が天候に与える影響と似たようなものである。中には、はっきりとした効率向上をコンスタントに実現する企業も存在しているものの、多くの企業において、管理者たちは、あふれるほどの信念とあり余るほどの精力を浪費しながら、キャンプファイヤーの周りを踊り続けている。

 このような"雨乞いの踊り"は、情熱的な活動の追求であって、耳に快く、見た目もいいし、管理者たちを気持ちよくさせてくれるが、実際、最終的な効率にはほとんど、あるいは全く貢献しないのである。こういった活動の多くは、"総合品質"だとか"継続的改善"といった旗印のもとに繰り広げられ、典型的にいえば、部門間の協同、中間管理職層の強化、従業員の参画というような、経営哲学や経営姿勢の向上を目指している。競合他社との比較、あるいは顧客満足度の評価、統計的工程管理というような達成度の評価に焦点を置く活動もいくつかはある。しかし、多くの活動は、問題解決その他の技法を従業員に教育することを目的としている。

 各企業は、"正統な"改善活動を十分に実行すれば、実質的な効率改善が必然的に生み出されるであろうという誤った前提のもとに、こうしたプログラムを導入している。このような、いわゆる"活動重視"型の計画の中心に、目的と手段、あるいはプロセスと結果を混同するという、基本的な欠陥を持った論理が存在している。この論理は、管理者たちが自社の効率を競合他社と比較したり、顧客の要求を調査したり、従業員に対し7段階の問題解決研修を実施しさえすれば、売上げが伸び、在庫が減少し、品質が向上するのだという信念に基づいている。専門スタッフやコンサルタントたちは、経営者に向かって、結果が必然的にすべてを解決してくれるから、直接良い改善結果を得ることに焦点を当てる必要がないし、また実際、当てるべきではないと述べている。

 大規模の投資を正当化するだけの証拠は実際上何もないのにもかかわらず、活動重視型プログラム導入の動きは加速し続けている。しかし、実際にはそれとは全く反対に、こういった活動の成果には実体がないという証拠が大量に存在している。

 例えば、1988年、米国金融業界最大手のある企業が、経営効率の改善と顧客の信頼度向上のため、"総合品質"プログラムを実施した。同社は数百人の従業員に対して研修を実施し、また、このプログラムの目的を1000人以上もの従業員に伝達した。コストのかさむ運動を2年間継続した後で、このプログラムのコンサルタントは、「48チームが誕生し活動中。2チームが品質改善構想を完成。当プログラムに対する従業員のモラールは今日にいたるまで極めて高い」との総括を行った。最終的な効率改善に関する報告はなかった。何もなかったからである。

 大手採鉱会社の上級副社長は、自社の3年にわたる総合品質活動の結果について、「我々は教育目標の約50%と従業員参画目標の約50%を達成したが、成果目標の約5%しか達成しなかった」と述べている。それでも、この結果には十分価値を認めていた。

 こういったことは珍しいことではない。米国電子協会(American Electronics Association)が、1991年、300社以上の電子機器メーカーを対象に行った調査によると、全体の73%が総合品質活動を実施中だが、その中の63%が品質不良率をわずか10%も改善できなかったと報告している。この調査結果は、品質に敏感な電子産業においてばかりか、全産業にわたって活動重視型プログラムの失敗の重大さをさりげなく伝えていると、我々は考えている。

 このような状況は、1つの悲劇が進行中であることを物語っている。すなわち、現在のやり方を続けていては、どの企業も、総合的な競争力という点では顕著な向上を達成できはしないであろう。さまざまな活動に多額の資産を投じ続けるにもかかわらず、単に部下たちの間に批判が高まっていくばかりであろう。そうして経営者たちは、活動に不可能なことを期待し、また実際、その活動が何も得られずに終わってしまうが故に、本当なら有益であったかもしれない改善策の多くを、結果的にむだにするのであろう。

 もし活動重視型プログラムが、投資に対し、ほんの少しの成果しかもたらしていないのであれば、なぜ、これほど多くの企業がこのようなプログラムに資金と精力を注ぎ続けているのであろうか? 先代の経営者たちが、ゼロベース・バジェットやZ理論、QCサークルなどに投資したのも同じ理由であった。急速な展開を続ける競合他社と歩調を合わせるための努力が長年不満足なままで続くと、管理者たちは、もっともらしい考え方であれば何にでも食らいつきたくなる。実際、数百もの協会や、専門家団体、コンサルタント会社が、こぞって活動重視型の手法を推進しているために、この方法が流行で妥当なのだという気持ちになってしまう。その結果、経営幹部の多くが、このような予備的な活動はすべて、いつの日か役に立つであろうし、また、他に実行可能な手段はないと確信するようになってしまう。

 彼らの考えは両方とも間違っている。活動にかけた投資に対する報酬は、どう見ても十分とはいえないだろうし、また、実際、代替手段が存在している。数カ月以内に特定の明確な業務改善を達成することに焦点を置いた、成果指向型の改善手法である。ここでいう成果とは、生産高の上昇、配送時間の減少、在庫回転率の向上、顧客満足度の上昇、製品開発期間の短縮というようなことを意味している。成果指向型の改善を行う場合、企業は特定の目標達成に役立ちうる範囲内で、管理手法や業務手順の変更を導入する(p.53"企業改善運動の相互比較"参照)。