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ユナイテッド自動車保険会社(the United Services Automobile Association以下USAA)のCEO(最高経営責任者)であるロバート F. マクダーモットは、顧客サービスに関してとかく評判の悪いこの業界の中で、行き届いたサービスができる会社を22年間かけて創りあげた。
いまやUSAAは全米第5位の自動車および家財を扱う保険会社であり、さまざまな金融サービス分野にまで手を延ばしている。従業員は1万4000人、顧客および保険契約者は200万人を超えており、その総資産は207億ドルである。
サービスの品質を構成する、顧客・従業員・技術革新の3要素に対して純粋に焦点をあて、マクダーモットはUSAAのビジネス、そして顧客の金融ニーズへのアプローチを大きく変革させた。
USAAは25人の陸軍将校によって1922年に創立された。当時の地方保険会社から見て軍隊は余りに移動がはげしく、生命等のリスクが大きいと思われていたので、将校たちが、お互いに保険がかけられるようにという趣旨で設立されたものである。今日ではUSAAの保険加入者は軍隊と退役軍人で占められている。現役のアメリカ軍の将校の95%はUSAAの保険に加入している。さらにUSAAは、販売・マーケティングの際、外部の代理店は使わずに、自社でまかなっている。
またマクダーモットはUSAAの市場拡大に向けて会員の子供や孫を賛助会員(株式持分せずに)の形で加入させている。法律的には、保険会社の提供する金融サービスは一般向けに行われなくてはいけないが、USAAが軍隊向けに行っている特別サービスは保険業界にとって大きな刺激剤になっている。
USAAは従業員に対して、軍隊精神と人的資源の永続的発展を強調することが同社の礎となっている。同社はまさしく軍隊そのものである。まずマクダーモットに直接報告できる11人の人間がいるが、その内8人は退役将校である。厳密な服務規定があり、従業員の業績は厳しくチェックされ、会社にはほとんどプライバシーはない。その証拠にマクダーモットの部屋でさえも一面はガラス壁となっているほどである。
同時に、USAAは週休3日制のような、革新的な雇用システムを開発し実施した。それは年間1900万ドルを研修費として投ずるもので、年間予算の2.7%を占め、業界平均の約2倍の金額に相当する。また少数民族を従業員として統合した先駆者でもあった。
本社はテキサス州サンアントニオにあり、286エーカーの敷地に本社ビルがそびえ立っている。また、テニスコート、ソフトボール・グラウンド、ジョギング用走路、3つの人工湖と75の教室を備えている。
USAAサービスの秘訣として最後に挙げられる要素は、技術革新である。ほとんどのサービス関係の会社が技術革新に多額の投資をしながらも、それが必ずしも売上増に直接はつながってはいない。しかしUSAAは、技術革新を売上増に結びつけるだけでなく、サービスの質の向上にもつなげている。例えばUSAAが開発した電子イメージシステムとは毎日3万通の郵便物を一通たりともメールルームに残さないというものである。その上、正確なイメージ(写真や映像等)がコンピュータの保険証券用のサービスファイルにインプットされ、同時に、電子システムにも組み込まれ、書状のサービス担当者なら誰でも、その書状についての処理を行うことができる。
マクダーモットは第2次世界大戦の戦闘機パイロットで米空軍の准将を務めたのを最後に退役した。アメリカ防衛大学の卒業生であり、またハーバード・ビジネス・スクールも卒業している。ウエスト・ポイント(陸軍士官学校)でも教鞭を取り、空軍大学では最初の永久学部長の資格を有する人物である。



