「2000年代に入ってから法律や国のガイドラインなどが整備されたことで、企業がリスクマネジメントのための体制やルールづくりをする動きは進みました。しかし、ルール通りに組織が動かず、机上で描いたルール自体も現実にそぐわないことが露呈し、経営に深刻な影響を及ぼすケースが珍しくありません。
体制やルールを整えるだけでなく、実際に運用してみて、有効性を確かめておくことが大切です」と語るのは、同社の取締役副社長で、プリンシパルコンサルタントの勝俣良介氏だ。
勝俣良介氏
Ryosuke Katsumata
同社が提供する全社的リスクマネジメント(ERM)の構築支援は、そうした運用面も含めたリスク管理体制づくりをサポートする。
「なかでも有事対応に関していえば、文書整備もしますが、それは全体の2割程度にすぎません。4割は危機対応力を上げるための模擬演習、残り4割は、演習結果に基づく組織やルールの改善に費やします。
有事にマニュアルを読む時間はありません。演習を通じて判断力と行動力を身体化させることで、組織のレジリエンス(回復力)を最大化させるのです」(副島社長)
経営の意識を変革するトップインタビュー
ニュートン・コンサルティングは、2006年に設立。今年で20周年を迎えるが、一貫して実践を重視するリスクマネジメント支援を行ってきた。
その底流にあるのは、マニュアルをつくるだけで安心し、後は引き出しにしまったままにしてしまう日本人の危機管理意識に対する疑問だ。
「日本のビジネスパーソンは真面目で几帳面なので、ルールや仕組みはていねいにつくり上げます。それは世界に誇れる素晴らしい素養だと思いますが、いざ危機に直面すると、むしろ真面目さが仇となって、臨機応変に対応できなくなってしまうのです」(勝俣副社長)
実は副島社長と勝俣副社長は、同社を立ち上げる以前、ロンドンでコンサルティング企業を経営していた。2005年、同時多発テロという混乱下で、即座に自律的な判断を下す現地企業と、指示があるまで足踏みする日本企業。危機対応の圧倒的な違いを目撃し、この差を埋めるため、二人は日本に拠点を移したのだ。
それから20年が経ち、「リスクマネジメントに関する日本企業の意識はかなり高まってきた」と副島社長は評価する。
副島一也氏
Kazuya Soejima
「それでも、人間の本質はそう簡単に変わるものではありません。組織全体の意識を変えるためには、まずは経営者が変わる必要があります。そのため、当社のコンサルティングでは必ずトップインタビューを行います。
有事という本番で意思決定をするのは経営者です。その経営者みずからが自分の会社のリスクを語り、みずからがリスクマネジメントに関与する。この当然の当事者意識を持ってもらうためです」(副島社長)
実際、多くの大企業では、リスクのテーマごとに委員会を設置し、縦割りで対策を実施している。経営者がそれらの委員会に対応を丸投げしている状態では、重大なインシデントへの初動は遅れ、取り返しのつかない損失を招く。
ニュートン・コンサルティングは、こうした縦割りの組織を統合し、リスクマネジメントを「経営の重要課題」へと引き上げる。経営者がリスクのハンドルを握ることで、現場は初めて機動力を発揮し、失敗を恐れず挑戦できるようになるのだ。
「リスクマネジメントに取り組んではいるが、本当に役に立つのだろうか」という疑念を抱く組織は少なくない。
しかし、同社の「実践重視」の支援を受けた企業の実感は対照的で、プロジェクト終了後の調査における「危機対応能力の向上」の実感スコアは5点満点中で平均4点を超えている。
勝俣副社長は、「AIが情報の整理を代替する時代だからこそ、最後は人間の『覚悟』とアナログな『対話』が問われます」と結んだ。この泥くさくも本質的なアプローチこそが、日本企業が次の20年を勝ち抜くための生存戦略となるだろう。
ニュートン・コンサルティング株式会社
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