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経営とは、不確実なものをいかにうまく扱うかという技法である。経営活動において、R&D活動ほど不確定でありながら、企業の将来にとって、重要なものはない。利益を得るには多くの時間と大きなリスクを伴うものであるが、依然として、プロジェクトの選定、リスクの分析、プロジェクトの評価にあたっては最も基本的な経験則が受け入れられている。
R&Dの問題について、マネジャーはどういう見地から考えるべきかについてさえ、未だに意見の一致も見られていない。未解決の基本的な問題が多いので、マネジャーはこれらの問題について、エコノミストの見解に注目する必要がある。というのは、彼らの調査にR&D活動に伴うリスク、R&D活動を成功させる要因、R&D活動を経済学的な視点から正当化できる利益のレベルについて一貫性を持った解説が現われ始めてきたからである。
米国企業は、常に新技術の先頭に立ってきた。市場での長期間にわたる高収益および現在の成功は新製品と新しい製法から生まれたものが多い。そして、この新しい製品と製法は、全てではないにしても、大部分は積極的なR&D活動の結果生まれてきたものである。
しかしながら、過去10年間において、実業界の指導者、政府の役人、学識経験者の間では、多くのアメリカの基幹産業に見られるイノベーションの衰退に関して大いに反省が行なわれた。技術的なリーダーシップが脅威にさらされてきているところから、イノベーションの管理能力は、かつては意識にものぼらなかったが、今では、企業計画の中で重要な位置を占めている。
もちろん、R&Dは、技術的成功へ導く活動の一部にすぎない。製品のイノベーションに要する総コストのうち、平均40%が、生産設備の設計、設置のためのコストであり、平均15%が、生産およびマーケティング開始のためのコストである(1)。さらに、企業によっては、重要な進歩に関してR&Dの直接の成果が占める割合がごく小さい企業もある。例えば、鉄道運輸業は17%、住宅産業は27%である(2)。
しかし、企業が十分なイノベーションを達成しうるか否かは、R&Dにどのぐらい支出するかということと密接な関係がある。それだけではなく、多くの産業のデータから、企業の生産性上昇率は、タイムラグはあるものの、企業のR&D支出額とも関係があることが分かるし、企業への供給業者のR&Dに対する支出額も関係がある(3)。
エコノミストはこれらの発見から、技術開発に関心のあるマネジャーに、何らかの価値ある示唆を与えることができると思われる。実際、過去20年以上にわたって、"陰気な学問(経済学)"は、イノベーション全般、特にR&Dの管理と直接関連のある研究成果を発表してきた。これらの研究の大部分は、日常の意思決定の指針とはならないが、その決定に際しての基盤づくりには確かに有効である。少なくとも、それらは、技術指向のマネジャーが関心を持たねばならない以下の主な問題を明確にするのに役立つ。
□ R&D活動にはどんな種類のリスクが含まれているか。
□ R&D活動が成功するのはいかなる要因によってか。
□ 技術を中心としたプロジェクトのポートフォリオに最適の構造はどのようなものか。



