今日、多くの企業が今までと違う新しいタイプの販売状況に直面している――顧客先企業の広範囲な部分に影響を与えるような、数百万ドルもする設備の売り込み、完納までに4、5年もかかる販売業務、また他の企業との合併の準備などである。

 本稿では、著者たちは販売術について、最近起きているいくつかの変化を記述する。例えば、より複雑で、大型の販売へ向かいつつある傾向――買い手、売り手の双方が留意しなければならない変化についてである。そして次に、企業が販売を円滑にするだけでなく、長期にわたる取引関係を確固としたものにする上でも使える、体系的なアプローチを展開している。

 著者らの8つのステップからなる手順は、接触の開始方法、「見込客とタダのお客とを区別する」方法、相手先企業のニーズと重要人物の「一覧表」の作成、買い手に対し購買を正当化すること、より魅力的な販売条件を提案するための自社資源の調整、商談の「ピッチ」を上げること、取引の締結、それに取引先の維持である。最後に、個々の会社がその特有な販売作戦に、戦略的な販売方法を応用できるように、いくつかの組織上のガイドラインを提示している。

 過去15年間にわたって次第にはっきりしてきたのは、販売術が変化してきているということである。特に1つの企業が生産財または消費財、サービスを他の企業に販売する際に、この傾向が顕著になっている(1)。その結果、営業マンは今までと違う行動形態をとるよう要求されている。

 1つの大きな変化は、合併や買収、会社の一部の売却や新しい形式での資金計画が一般的になり、いわば、繰り返しのない、子会社や会社を売るといったことや、ライセンスの取決めなどがより重要になってきている。このような取引はいつの時代にも存在していたが、現在では当時に比べ量的にも多くなり、重要さも増しており、販売部門管理職の関心を引きはじめている。

 第2に、事業がより拡大し(同時により複雑になり)、平均売上高が伸びている。ある産業では、この変化は劇的で、特にシステム販売の展開、消費財でのプライベート・ラベル契約にそれが見られる。

 次のような事例を検討してみよう。

□ アライド・ケミカル社の産業化学事業部は、長年にわたって硫酸を販売してきた。同社の大手に対する年間契約販売額は、100万ドルから200万ドルの範囲にあり、数年はこれが続いていた。最近になって、同事業部は大気汚染防止のプロセスを開発したが、その販売には施設への2000万ドル以上の全体的な設備投資の決定が関係しており、それはまた数年もかかるものである。

□ 消費財でのプライベート・ラベルの契約は、単に量的に拡大したばかりでなく、伝統的なゼネラル・マーチャンダイズ・チェーン(シアーズ・ローバック、J.C. ペニー、モンゴメリー・ワード)を超えて、スーパーマーケットや、ディスカウント・ストア、普通の百貨店にまで及んだ。こうした契約では、1000万ドル以上の取決めは、そう珍しいことではない。

□ 比較的小規模な企業でさえ、大型の販売をまとめている。ビルの清掃や保守の業界では、1000万ドル以上の売上げのある企業が100万ドル単位の契約を競っている。