長年にわたって製品ライフサイクルについての考え方は、マネジャーが商品販売の収益を極大化するための有効な武器として機能してきた。しかし、本稿の著者たちによれば、技術を単に商品の販売のみに生かすだけでは十分ではない。今日、企業は研究開発コストの上昇、低コストの生産者からの競争圧力、生産能力の制約、反トラスト法、金融上の困難、貿易障壁に直面している。

 こうした状況は、企業が自社の技術をそのライフサイクルのあらゆる段階において可能な限り市場に提供し、技術投資に対する収益率を向上させるべきであることを示唆するものである。技術ライフサイクル――製品ライフサイクルから導き出される――は、企業が自社のノウハウを販売する際に、臨機応変にどのような意思決定をなすべきかを的確に示してくれる。

 著者たちはまた、低コストの国外生産者への技術移転によってもたらされる競争上の危険性と、技術の販売における仲介者の役割の増大についても論じている。著者たちは、企業の技術マーケティングを企画する高度に専門化したスタッフをもつことの重要性も強調している。このスタッフは、他の問題のあい間をぬって振り向けるようなトップマネジメントの関心に委ねることのできない、また単にマーケティング担当者や戦略企画担当者にも任すことのできない責任をもつ。

 企業において産業技術を体系的に管理するためには、自社の技術的蓄積、販売市場、社内の開発活動の間の結び付きについて慎重な計画をたてることが必要である。その際にはまた、最適の研究水準を確保、維持するために、種々の研究開発(R&D)活動間の調整も必要とされる。そうした一企業の最適の研究水準は、その企業がどのような利用可能な資源をもっているか、競争圧力はどの程度か、市場の要求は何か、によって決定される。さらに企業の製品と生産技術とをシステマティックに結合することも要求される。開発された製品は、同時に効率的に生産されなければならないからである。

 現代の経営学の賢人たちは、企業はその技術的能力と諸資源を自らの顧客にとって有用な商品もしくはサービスを開発するために投資するものであると説く。これに対してわれわれは、企業が技術的投資に対する収益率を最大にするためには、自社がもつ技術的蓄積を最大限に市場で活用することを目標として、計画を立案すべきであるという見解をもつ。こうした技術的蓄積には、その企業の製品もしくはサービスとして具現化されているものも含まれるであろうし、必ずしもそうした製品、サービスに必要とはされないものも含まれる。実際、低コストを武器とする第三世界の生産者の成長によって、西側諸国が自らの生産物によってのみ自らの技術的資源を最大限に活用することは、ますます困難になっていくことであろう。

 したがって企業のマーケティング戦略は、一括払い、あるいは特許権使用料の形での技術の販売を目標として打ち立てられることになるであろうし、また、そうせざるを得ないであろう(販売という言葉によってわれわれは、技術の直接的な販売、あるいは技術利用のためのライセンスの形での販売のいずれかを意味する)。

 しかし、自社の技術的蓄積を最大限に活用したいと考えるマネジャーがいても、マーケティングの教科書はそうしたマネジャーにとっては、ほとんど役に立たない。マーケティングの教科書では、多くの基本的な問題について答えが与えられないままとなっている。例えば、その問題とは次のようなものである。

 >技術を販売する場合に、どのような問題が生じるのか。

 >技術を販売する企業は、将来性のある"種もみ"を放棄し、その結果として、企業の将来を危うくしようとしていないか。

 >どのようにして、誰に、そしていつ技術は販売されるべきか。