投資利益率(ROI)が販売量に極めて敏感に反応する企業の場合には、プロフィット・センターの管理者の業績は、景気動向のいかんに左右されることが多い。本稿は、こうした企業の管理者が、販売量水準ごとの投資利益率目標を設定することで、よりよい業績管理尺度を得る手助けとなる方法を示している。

 損益分岐点分析を発展させた方法(すなわち、純資産利益率<RONA>で投資利益率を測定する)を用いることによって、管理者は、販売量水準ごとに彼らの純資産の生産性を測定することができ、また、プロフィット・センターないし事業部門にとって意味のある投資利益率を設定することができる。

 ここ数年、投資利益率(return on investment―以下、ROIと記す)が、一定期間の事業業績を測定するのに最も有効であるとの認識が深まってきている。事実、現在では、大企業のプロフィット・センターないし事業部門の年次業績目標は、従来一般的であった名目純利益などではなく、ROIで設定されているようである。

 ところで、事業の中には、資本集約的(すなわち、変動費に対し固定費のウェートが非常に高く、国内景況のいかんで需要が大幅にブレるという)性格をもつものがある。こうしたタイプの事業のROIは、販売量に非常に敏感であり、また、景気動向といった、プロフィット・センターの管理の範囲を越えた要因で決まってしまう。

 こういう場合には、販売量の水準ごとのROI目標が設定されるのが望ましい。景気動向およびそれに影響される販売量が、予測を上まわった場合には、プロフィット・センターの管理者は、より高いROI達成に責任をもつべきであるし、逆に、景気や販売量が悪い場合には、ROI達成についての責任の度合いは減殺されるべきである。一定の景気予測に基づいた非現実的な目標よりも、現実的なROI達成に努力させたほうが、管理者は、より効果的に事業管理を行なうように思われる。

 本稿では、販売量水準ごとのROI目標を設定する方法を提示する。その方法の基本は、損益分岐点分析の応用展開であるが、損益分岐点分析をROIと結びつけることによって、その大きな欠点のひとつを除去した。

 ROIは、いろいろな方法で測定されているが、ここでは、純資産利益率(return on net assets――以下RONAと記す)を用いる。ここで、利益は、税引後営業利益であり、純資産は、総資産マイナス流動負債(長期借入金のうち1年以内に期限が到来する分を除く)である。要するに、RONAは、資本構成を捨象した資産の生産性測定であり、それゆえに、プロフィット・センターないし事業部門管理の業績測定尺度となるのである。

 損益分岐点分析とRONAを組み合わせることで、プロフィット・センターの管理者は、次のような利点が得られる。

>RONAの構成要素およびその相互関係が視覚的にわかり、また、販売量の変化によって、なぜRONAが変化するかを理解できる。

>販売量水準ごとに一定の状況を想定することで、ある事業のRONAをあらかじめ決定することができる。