マンモスは一人でしとめられない

 4万年前のとある夜、中央アジアの大草原で我々の遠い祖先たちが数人、マンモス狩りの支度を整えている。マンモスほど巨大な獣を追い詰めるには、言うまでもなく大きな危険がつきまとう。

 しかし、狩人たちは厳しい冬を迎え、腹を空かせた40人ほどの男女と子どもたちを抱えている。マンモスを1頭しとめられれば、何週間も食いつなぐことができる。危険を冒すだけの価値は十分ある。

 男たちはその晩、槍を研ぎ、勇気を奮い立たせた。そして翌日、代々伝わるまじないを唱え、色とりどりに顔を塗った。マンモスの牙にかかって負傷する者が出るかもしれない。しかし、狩りへの興奮と獲物への期待が膨らむなか、そのような危険もほとんど消えていた。

 そんな太古の光景が、意外にも現代の投資行動について、いろいろ教えてくれる。事実、人間の社会的衝動、あるいは情緒的衝動は、何百万年にもわたる進化の過程から生まれたものが少なくない。

 太古の人類から受け継いだ生存本能に従い、我々の祖先は、巨大な獲物を狙う時はなおのこと集団で狩りに出かけ、勇猛果敢に自分の集団を守った。このような強い群れ意識があったからこそ、危険を冒して狩りに参加し、連帯して家族や村を守る意志と勇気を奮い起こせたのである。