産業界は国の安全保障政策に関与すべきである

 日頃飛行機で飛び回っている経営幹部も、国家の安全を、懸念すべき問題として意識しているとはいえ、それがわが身に降りかかってくるとまでは考えていない。

 それは誤った考え方であると指摘するのは、アメリカ会計監査院(GOA:Government Accountability Office[注1])の国土安全保障・法務チームのマネージング・ディレクター、ランダル・イムである。産業界に支払われている安全保障費、そして企業が国防において担うべき役割について語る。

HBR(以下太字):なぜ産業界も、国家の安全について認識すべきなのでしょうか。

イム(以下略):まず、安全保障を必要とするものの大半は産業界が所有しているものだからです。アメリカにおける基幹インフラの85%が民間所有であることを忘れてはいけません。

 陸運や空運そして海運、電力供給システム、ヘルスケア・システム、都市部のオフィス・ビルについて考えてみてください。アメリカ国土安全保障省(DHS:Department of Homeland Security)は、これらのインフラを国防上保護すべき対象として定めていますが、産業界はほとんど何もしてきませんでした。ただし、その保護対象の定義は、「その防衛を等しく推進する」とでも言いましょうか、きわめて大くくりです。