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トスカーナの紡績メーカーの試み
広告効果の低下とあいまって、マーケティングは迷走しつつある。しかも、買い手はますます事情通になっている。では、どうすればコモディティ化の荒波を乗り越え、競合他社との差別化を図ることができるだろうか。
現在、品質ではなく、自社が培ってきた専門知識を訴求する手法に、マーケターたちの関心が集まっている。このコンピタンス・マーケティングは、定量的に評価するのが難しい商品を扱う企業、アフター・サービスを提供するB2B企業において、とりわけ効果的である。その好例が、イタリア・トスカーナ地方の紡績メーカーだ。
トスカーナ地方の紡績業といえば、高級ファッション・ブランドを支えるリーダー的な存在であり、その仕事はフィレンツェで年2回開かれる「ピッティ・フィラーティ」という国際的な素材見本市で発表されてきた。
ところが1990年代中盤、発展途上国の紡績メーカーがトスカーナの模倣品をかなりの低価格で売り出したことで、新たな競争の火蓋が切って落とされた。
トスカーナの紡績メーカーは、トップの座を奪還すべく大胆な行動に打って出た。彼らは見本市に展示する商品の幅を広げ、ピッティ・フィラーティをアパレル素材という枠をはるかに超えて、イノベーションを発表する場へと変えたのである。



