2つの寡占状態

「オリゴポリー」(売り手寡占:oligo-poly)という言葉を知っている人は多い。これは、売り手が少数しかいない市場を意味する。一方、買い手が少数しかいない市場、すなわち「オリゴプソニー」(買い手寡占:oligopsony)という言葉には、あまりなじみがないかもしれない。

 たとえば、あなたが世界のどこかでカカオ豆を栽培しているとしたら、販売先は穀物メジャーのカーギルやアーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(ADM)くらいだろう。制作した映画をシネマ・コンプレックスで上映するなら、北米のほぼすべての映画館を支配する、4社か5社の映画スタジオを相手に交渉しなければならない。航空機部品を製造しているのなら、営業担当者はボーイングやロッキード・マーチン、それにほんの一握りの航空機メーカーに売り込むしかないだろう。

第3の寡占:オリゴノミー

 しかし、一つの企業が「オリゴポリー」と「オリゴプソニー」の両方に属していたらどうだろう。このような状況がしだいに一般化しており、私はこれを「オリゴノミー」(oligonomy)と呼んでいる。このようなオリゴノミー企業はB2C市場とB2B市場の両方において、独特な影響力を行使している。その悪名高きプレーヤーこそ、ウォルマート・ストアーズである。

 経済学者たちは以前から、オリゴポリー企業が談合なのか、暗黙の了解なのかを問わず、価格を高く設定する力に注目してきた。ところがウォルマートはその市場支配力を、低価格を設定するために利用している。