横浜Fマリノスの中村俊輔選手は、17歳の時からサッカーノートをつけている。そのノートには、「もし、あなたが勝てると考えるなら、あなたは勝つ! 向上したい、自信を持ちたいと、もしあなたが願うなら、あなたは、その通りの人になる」と書かれている。どちらかといえば悲観的で内向的な中村選手が、「肯定的思考が大事」とノートに書き、日々努力することによって、結果として夢を実現し、サッカー選手としての成功を自らつかんだ。レッジーナ(伊)、セルティックFC(英)、RCDエスパニョール(西)で活躍し、日本代表として2度、W杯出場を果たした。
肯定的思考はわれわれを前向きにする。そして、その楽観思考が、「予言の自己成就」の働きによって、実際の結果さえも変えてしまうことがある。だから、リーダーには、自分自身で完結するポジティブ・シンキングでは足りない。周りの人を巻き込むほどのオプティミストであることが大切だ。
負うた子に教えられるリーダーシップ
最後にもう1問。リーダーシップの強敵『ドラえもん』にも勝るほどの人気マンガのうちで、リーダーシップをモチーフにしたものはなんでしょうか?
答えは、『風の谷のナウシカ』(宮崎駿作 徳間書店)だ。風の谷のナウシカは、産業文明の衰退で残された環境破壊と、帝国主義と民族紛争と宗教対立が入り組んだ社会に立ち向かう。現代社会が直面しているありとあらゆる「どん詰まりの状況」が、このマンガのテーマとなっている。
いかなるどん詰まりの状況にあっても、けっして希望を捨てず、あえて苦難に立ち向かい、昨日の敵を今日の味方に変えてしまう。そんなナウシカの姿は、リーダーシップそのものである。クール・ジャパンを2分するほどの人気の藤子マンガと宮崎アニメ。ドラえもん派とナウシカ派では、心が動かされるポイントが異なっている。
風の谷の少女が、王蟲(オーム)の血で青く染まった土鬼(ドルク)の服を着て、トルメキアの船で出陣する。その目的は、空気が汚染され、生命が死に絶える大海嘯を食い止めることだ。土鬼の僧正は、敵対する側にたつはずのナウシカのなかに、民を約束の地に導く使徒の姿を見る。「その者青き衣をまといて、金色の野に降りたつべし」。