「決定的な利点はレバレッジ。つまり、『金融機関の融資を利用できる』という点に尽きます。不動産投資は、株式や投資信託などの金融商品とは異なり、物件の担保価値と事業性が評価されれば、融資を受けて購入できます。つまり、現役の会社員が日々の仕事を通じて築き上げてきた『社会的信用力』を、レバレッジを利かせた資産形成にダイレクトに活かせる唯一の投資商品なのです」(図表1参照)

 自己資金の何倍もの資産を取得し、その返済には入居者からの家賃収入を充てる。インフレ局面では家賃や不動産価値の上昇も期待でき、資産拡大のスピードを飛躍的に高めることができる。

 しかし、多額の融資を活用できるというメリットは、裏を返せば大きな借り入れを行うという心理的なハードルにもなる。投資につきまとう不安に対し、安富氏は極めて明快に答える。

「アパート経営における最大のリスクは『空室』です。表面的な利回りが高く見えても、空室が続けばその数字は絵に描いた餅になり、ローンの返済が行き詰まります。不動産投資は30年、35年と続く長期の事業です。いかにして安定した入居を維持できるか。そこに徹底的にフォーカスし、リスクを排除していくことが成否を分ける最大のポイントなのです」

「36年の実績」と金融機関からの「絶対的信用」

 アパート経営はもともと、土地を所有する地主や資産家が、その土地の有効活用として行うのが一般的だった。

 その業界の常識を覆し、1990年の創業以来、36年にわたり「会社員のためのアパート経営」という新たな市場を切り開いてきたパイオニアが、シノケンだ。土地の仕入れから建物の企画・建築、完成後の賃貸管理までをグループで担い、土地と建物を一体で提供するスキームをいち早く構築した。

「不動産経営が『地主だけの選択肢』であった時代に、土地をお持ちでない会社員の方でも、不動産経営を通じて安定収入を得られる仕組みをつくったのが弊社グループです。弊社グループの会長自身が実践した成功体験をもとに、これを会社員の方にも広く提供できないかと立ち上げたのが原点です」

 同社が36年にわたり第一線で選ばれ続ける理由は何か。それは前述した「最大のリスクである空室」を極限まで抑え込み、オーナーの安定経営を守り抜いてきた確固たる実績にほかならない。

 同社が企画・開発した物件は、築30年以上の古い物件も含め、年間平均入居率99.0%(2025年実績)という驚異的な水準を誇る。この長年にわたる高稼働実績が、投資家の不安を払拭するだけでなく、金融機関からの絶対的な信用へとつながっているのだ。

「どの物件に融資をするか、金融機関は非常にシビアに審査します。シノケンの物件であれば、これまでの膨大なデータと実績から『長期的に安定した収益が見込める』と高く評価していただけます。その結果、業界でも類を見ない『フルローン(自己資金ゼロからの融資)』での借り入れが可能になるケースも少なくありません。年収700万円前後の会社員の方でも、物件の事業性評価が高いため、1億円規模のアパートを取得できる道が開かれているのです」

実績を裏付ける「立地戦略」と「企画力」

 では、なぜ、高い稼働率を維持できるのか。その秘密は、業界の常識である「地主起点」から脱却した、独自の「立地戦略」と「企画力」にある。

 従来のアパート建築は「地主が所有する土地に建てる」のが前提のため、入居需要は二の次になりがちだった。

「土地ありきのアパート経営では、立地を選ぶことができません。いくら利回りが高く計算できても、駅から遠かったり、不便であったりすれば、新築時はともかく、10年後、20年後の入居は安定しません。我々は土地を持たない方へ提供するからこそ、長期的に入居需要が見込める『優良な立地』だけを自社主導で厳選できるのです」

 実は、シノケンが現在ターゲットとしているエリアは極めて限定的だ。首都圏であれば東京23区内、ターミナル駅から30分、かつ最寄り駅から徒歩10分以内。地方であっても、福岡市、大阪市、名古屋市、仙台市といった、人口流入が続き、インフラ整備が進む政令指定都市の中心部に絞り込んでいる(図表2参照)。

「立地条件を無視して土地を仕入れて建物を建てれば、表面的な利回りを高く見せることは簡単です。しかし、我々は妥協しません。なぜならば、机上の計算では利回りが高くても、駅から遠いなど、そもそも入居ニーズがない立地では入居が埋まらず、その利回りは実現できないからです。妥協しない立地だからこそ、価値が上がっているといえます。なので、入居が安定しないと判断すれば、仮に土地をお持ちの地主様から『ここに建ててほしい』とご依頼を受けても、お断りしているケースがあります」

 優良な立地は取得競争が激しい。同社が他社に先駆けて好立地を確保できる背景には、圧倒的な「意思決定のスピード」がある。土地情報が入れば、独自のネットワークと長年の蓄積データをもとに、翌日には購入の可否を判断する。このスピードが不動産仲介業者からの絶大な信頼を生み、未公開の優良情報が集まる独自のエコシステムを形成しているのだ。

 土地のポテンシャルを最大化する「企画・設計力」も同社の武器だ。

「規格品を土地に当てはめるのではなく、土地形状に合わせて一からオーダーメードで設計します。たとえば、三角形などの変形地であっても、弊社の設計力なら活用しにくい無駄なスペースを極限まで減らし、高い収益性を生み出す建物を企画できます。他社が手を出したがらない変形地を、独自のノウハウで優良物件に変えることができるからこそ、仕入れの競争力にもつながっているのです」

年間平均入居率99.0%と抜群に高い稼働率には、収納スペースなどの内装の良さも貢献している

 この企画力は、「取れる家賃」から逆算する発想に基づいている。単身の若年層をメインターゲットに、彼らが求めるデザイン性や利便性、設備仕様を常にアップデートする。入居者が「ここに住みたい」と思う部屋を適正な家賃で提供できる設計を描き、そこから建築コストを引き、最終的に「いくらならこの土地を買えるか」を弾き出す。この徹底した逆算アプローチが、高稼働と高収益を両立させている。