AIは職場の孤独を解消できるのか

 組織で働くということが、新たな時代を迎えている。私たちは歴史上初めて、就業中に会話やサポートを求める相手として人間以外のものを頼れるようになった。いまや、AIと対話ができるのだ。

 しかし、従業員は社会的な目的でAIをどのように利用しているのだろうか。また、利用することで従業員にどのような影響が及ぶのか。筆者らが現在進めている研究で試みているのは、こうした疑問に答え、この新たな動きが今後、私たちをどこに導くのかを解明することだ。

 今回の研究のきっかけとなった問題は孤独──具体的には、世界中の多くの人々が職場で日々感じている孤独である。仕事の満足度、業績、定着率の低下など、孤独は企業に重大な影響を及ぼしてきた。職場で生成AIやAIエージェントと会話すれば、それが和らぐのではないだろうか。何と言っても、人々がすぐにAIの友人や恋人、セラピストに親しみを持つ様子を我々は目の当たりにしてきているからだ。

 それを明らかにするために、筆者らはAI普及曲線で相対的に導入が進んでいるナレッジワーカーを対象に研究を行った。参加者のほぼ全員が業務中に毎週、毎日、もしくは毎時間のようにAIを利用していた。アンケートの回答やヒアリングにより、大多数の人がすでに業務の遂行に留まらない目的でAIを利用していることが確認された。キャリアアドバイスや自分の感情を受け止めて肯定してもらうなど、これまでは同僚が担っていた個人的な支援をAIに求めていたのだ。

 それでもなお、半数以上の人々が職場で孤独を感じていた。さらに、社会的サポートをAIに依存していると、将来的に企業文化や同僚同士の結びつきが損なわれかねないことも調査結果から読み取れた。

 組織における社会的つながりが希薄化しないために、テクノロジーではなく、人間的なつながりを重視し促進するのに役立つ5つの具体的方法でAIを活用することを、リーダーに推奨したい。

人々はどのようにボットと関わっているか

 筆者らの研究で試みたのは、従業員がどのように人間の同僚やAIと関わり、その経験が仕事の満足度やウェルビーイングにどう影響するかを解明することだ。調査対象は、仕事で定期的にAIを使っている米国のナレッジワーカー1545人である。月1回の利用が7%、週1回が36%、毎日が48%、毎時間が9%だった(囲み「調査の概要」を参照)。大半の人が大規模言語モデル(LLM)などの汎用AIを利用しており、一部の人は調査、グラフィックデザイン、採用活動といった業務に特化したツールやプラットフォームも使っていた。参加者は平均すると、ギャラップが調査対象としたナレッジワーカーよりも頻繁に業務でAIを用いていた[注1]。したがって、筆者らの研究から垣間見えてくるのは、より多くの組織の従業員がAIを幅広く使うようになる未来である[注2]。

調査の概要

 少なくとも月1回、業務でAIを利用している米国のフルタイムのナレッジワーカーもしくはオフィスワーカー(アナリストやエンジニアなど)1545人を対象に調査した。参加者の年齢は25~54歳で、平均年齢は40代前半。男女比は女性50%、男性50%だった。勤務形態はさまざまで、46%が完全出社、37%がハイブリッド勤務、17%が完全リモート勤務だった。73%が管理職である。

 AIの利用頻度は月1回が7%、週1回が36%、毎日が48%、毎時間が9%だった。最もよく利用するAIツールは、チャットGPT、マイクロソフト・コパイロット、クロードなどの大規模言語モデルで(参加者の82%が利用)、次いでパープレキシティやノートブックLMなどのリサーチおよびナレッジツール(30%)、ノーションやファイアフライズAIなどの整理・メモ作成ツール(24%)だった。

 市場調査会社のダイネータが、2025年6月(n=749)と同年12月(n=796)に10分間のアンケート調査を用いてデータを収集した。尋ねた項目は、職場の孤独、AIの捉え方と利用状況、人口統計、性格、勤務形態、職務特性、組織設計要因についてである。

 AIによる社会的サポート機能の測定には「リレーションシップ・ファンクションズ・インベントリー」の短縮版を用い、AIがどのようにキャリアアドバイス、自己成長サポート、友情、感情的サポートを提供しているか質問した。2025年8~9月に、6月の参加者のうち再度連絡を取ることに同意した人々(n=99)に追跡調査を実施した。調査の一環として、参加者にはボイスフォーム(AI搭載の会話型アンケートフォーム作成プラットフォーム)上で職場でのAI体験に関する詳しい話を録音してもらった。なお12月の参加者にのみ、組織のリーダーからAIが職場の人間関係に与える影響について説明を受けたかどうかも質問した。AIの種類別の利用率については、追跡調査の参加者と12月の参加者から収集した。

 参加者間では、AIを擬人化する傾向を示す強い根拠が見つかった。AIツールを人間のように扱っていたのだ。たとえば、参加者の78%がAIとのやり取りで「お願いします」「ありがとう」などていねいな言葉を使っていた。