これは経済危機ではなく
マネジメントの危機である

編集部(以下色文字):リーマン・ショックに端を発した世界的経済危機は、いまだに収まる気配がありません。

ミンツバーグ(以下略):これは単なる経済による危機ではありません。経済を壊したのは間違ったマネジメントであり、言うなればマネジメントの危機なのだと私は考えています。

 これまでアメリカ企業では、株主価値や短期利益が過度に重視されてきました。そこではリーダーシップがまるでカルト宗教のように崇拝され、CEOが一般従業員の500倍もの法外な報酬を得る一方、計画未達となれば、いとも簡単に人員整理を行う始末。このような理不尽なマネジメントにより、人々の間に不信と不安が広がり、企業内のコミュニティが破壊されてしまいました。その代償がいま、さまざまな形で噴出しています。