3つの連鎖×3つの結節点
このように「3つの連鎖」による自己変革メカニズムにおいては、各連鎖それぞれにおいて、3つの結節点となる要素が存在する。3つの連鎖内に存在する3つの構成要素を「9つの結節点」とし、持続的自己変革を可能にする組織メカニズムの構成要素として位置づける。また、この結節点は、各連鎖内を機能させるのに加えて、連鎖間のつながりをもたらす役割も果している。

現在と将来との間での断絶回避のマネジメント
《時間軸の連鎖》
過去から現在に至るまでの成果を礎に将来価値を高めることは持続的成長の根源的テーマである。組織が変革を続けるために、過去から現在に至る各種の断絶を回避し、将来につながりをもたらすあり方が「時間軸の連鎖」である。この時間軸の連鎖において結節点としてカギとなる要素が3つある。「価値観」「リーダー」「マネジメントサイクル」である。
結節点<1>価値観のつながり
時間軸の連鎖における最も重要な結節点が、時代を超えてつながる価値観、具体的には、長期的な企業の存在意義やミッションといった経営理念、経営哲学といった組織を運営していくうえでの拠りどころとなる変わらぬ価値である。こうした“変わり続けるためには変わらないもの”が、価値観のつながりを断絶させないためには必要になる。
結節点<2>リーダーのつながり
価値観や存在意義は、時間軸を超える普遍性を持つものだが、実践するのは経営トップをはじめリーダーの役割である。時代に応じて各リーダーが「変えるもの、変えないもの」をどう見極め選択するかが時間軸の連鎖を可能にし、組織が永らえるうえで大きな影響を与える。つまり、どの時代の環境変化にも適応できるリーダーシップのあり方が企業の寿命を決定付ける要因となる。実際に、経営トップの任期は有限であるため、トップ在任期間、リーダー間で共有するグランドデザイン、次世代経営者の育成等のテーマが、リーダーのつながりをもたらすうえでテーマになる。
結節点<3>マネジメントサイクルのつながり
マネジメントサイクルのつながりは、組織全体としてのPDCAサイクルといってもいい。経営として見据える長期的な時間軸を、組織全体として計画や足元まで落とし込み、いかに実行していくか、またそれを日常活動として継続的に繰り返す仕組みがマネジメントサイクルである。具体的には、メガトレンドなどの超長期的なものの見方、組織としての長期ビジョン、中期的戦略、単年度、四半期、月次の計画のあり方が問われる。これは「時間軸の連鎖」を組織が実務として実践するうえで根幹となる結節点であり、「市場との連鎖」及び「組織内の連鎖」を結びつける役割を果す。