「すでに起こった未来」への準備
ピーター F. ドラッカー(Peter F. Drucker)
政治、社会、経済、企業のいずれにせよ、およそ人間に関わることについては、未来予測は意味がない(75年後といわずとも、つい目の前のことについても同じである)。しかし、すでに起こっており、後戻りのありえないことであって、10年後、20年後に影響をもたらすに違いないことについて知ることには意味がある。また、そのようなすでに起こった未来を明らかにし、備えることは可能である。
先進国の抱える問題は何か
世界的な大戦争の再発、疫病の大流行、大隕石との衝突などの大事変がないかぎり、これからの20年の世界を左右する支配的な要因は、経済でもなければ技術でもない。
それは、人口構造の変化である。とはいえ、企業にとっての問題は、40年ほど前から警告されてきた地球規模の人口爆発ではない。それは、日米欧の先進国における人口減である。