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ホット・グループとはその呼称のとおり、活気にあふれ、目標達成度が高い、献身的な人間の集団で、たいてい少人数だが、メンバーは刺激的な難題に直面すると大いに発奮する。ホット・グループは存続するかぎり、他のことにほとんど関心を持たないほどにメンバーの心をとらえ、完全に掌握する。そして、迅速に成果を上げる。
成功している経営幹部はすべて、極めてホットなグループを過去に見たことがあるか、あるいはそのメンバーであった経験を持っている。それがチームであろうが委員会であろうが、あるいはタスクフォースであろうが、その特徴は同じで、活力に満ち、吸引力があり、議論と笑いが横溢し、非常に勤勉である。
ホット・グループはほとんどの場合、意図的に計画されることはないが、社会、団体、学界、政界を問わず、すべての環境で成立しうる。条件が整えば、困難な問題や頑強な敵に立ち向かうメンバーの熱意に触発されて、ホット・グループが出現する。ホット・グループが通常の組織的制約に拘束されずに発展することが許される場合、その創意と活力は組織に大いに利益をもたらすことになる。
分割前のベル研究所を考えてみよう。伝統に囚われた偏狭な地域、ニュージャージーの一角を本拠とし、社員2万人を擁する成熟企業、ベル研究所は、管理体制の厳しい、保守的な会社である。朝には上級管理者がよく研究所入口に立って、遅刻者をチェックしていた。当時、組織は9つの階層に分かれていた。ホット・グループが活躍する余地などなさそうに思われた。しかし、多くはホット・グループの尽力によって、近代的な通信理論を案出し、トランジスターをはじめとする幾多の新機軸を打ち出したのが、ほかならぬベル研究所だった。
ベル研究所の場合、ホット・グループは2つの基本的な理由で発展したと考えられる。まず、科学の価値に対する強い信念、そしてAT&Tに束縛されまいとする、同じように強い独立心である。
第1に、ベル研究所ではすべてにわたって科学の価値が中核を成していて、所員全員に浸透していた。所内で最高の地位にあるのは、基礎研究に従事する、最先端の、つまり最も現実ばなれした研究を行っている人々だった。他の多くの企業では、そうした人々は組織の権力構造とは無縁の〝おたく〟か研究室にこもりきりの変人とみなされ、嘲笑の対象にしかならなかったはずだ。ところがベル研究所では、彼らがむしろ高く評価され、彼らが最も興味深いと信ずる研究にいそしむよう奨励されていたのである。
第2に、ベル研究所は初めからAT&Tから独立した機構として創設されていた。AT&Tが運営費を負担し、研究所自体は通常の経営圧力から保護されていた。実績を上げるまでの長い猶予期間を与えられていた。当然、ベル研究所の経営幹部は、従来の意味での管理者ではなかった。彼らは、一方で規律と責任を要求すると同時に、他方で創造性と意思疎通を奨励する、優れた技術者や科学者だった。
ベル研究所のホット・グループのようなものが、他の企業でも育つ可能性があるだろうか? もちろん確かにある。それには組織が収益を上げる必要に煩わされずに、純粋に科学の探求だけに専念しなければならないのだろうか? 全くそういうことはない。市場競争で優位に立つために、ほとんどの企業は画期的な新製品やサービスを開発しようとやっきになっている。その目標を達成するには、組織が認める許容範囲ぎりぎりの行動を奨励することが、自社をホットにするのに役立つという事実を、管理者が理解する必要がある。
ホット・グループについてだれも十分に理解していないので、それを育成する計画書を書くことはできない。しかし、長い間ホット・グループを観察したり、実際に参加したりしてきた経験から、そうしたグループが発展するのに必要な条件や行動様式、リーダーのタイプ、そしてグループがもたらす利益などについては説明することができる。どのようにしてホット・グループを育てるか、という質問に対する答えは明白である。つまり、育てることは不可能である。ホット・グループは植物と同じで、自然に育つものである。しかし、代わりに同じように重要な、別の疑問に取り組むことはできる。ホット・グループはどのような環境条件下で最も勢いよく育つか? 温度と光はどのくらい必要か?
ホット・グループの実態
ホット・グループは仕事に熱中し、食事中も睡眠中も、生活すべてを仕事に投入する。メンバーは自分たちのグループが、何か重要なもの、意義のあることに関わっていると確信している。個人的には、他のときに比較して、ホット・グループに参加しているときが、より創造的で有能、かつ活力があると感じるだろう。



