病院の最前線におけるサービスの改善

 クリス・マッカーシーが、ラズベリー色の手術着姿で早朝の打ち合わせに姿を現す。この後彼は、カイザー・パーマネンテ(KP)がベイエリアで運営する何軒かの病院を回り、看護師たちの働く様子を調査する予定である。

 マッカーシーはKPのイノベーション・スペシャリストとして、看護師が患者と接する時間を最適化するプロジェクトをスタートさせたばかりである。たびたび臨床の現場を訪れては、医療従事者の仕事の仕方や同僚とのつき合い方、技術との関わり方、そして患者の反応を見ているのだ。

 マッカーシーは、KPとデザイン会社のIDEOとの関わりから生まれた小さなチーム、イノベーション・コンサルタンシーの一員である。KPは2003年、IDEOと契約し、特定の価値ある活動を遂行するうえでの改善策や、効率的なオペレーションを編み出すための支援を求めた。そしてその過程で、独特なイノベーションの方法論を身につけたのだ。