K.I.T.虎ノ門大学院(以下K.I.T.)は、経営系学位のグローバルスタンダードである「修士(経営管理):MBA」と、近年の企業経営で注目される「修士(知的財産マネジメント):MIPM」という2つの学位に対応したカリキュラムを提供している。少人数制ゼミや超実践的な授業が特徴で、業種を超えた交流も生まれている。院生たちはK.I.T.で何を学び、日々の仕事でそれをどう活かしているのか。DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)の岩佐文夫編集長が院生たちに聞いた。

◆座談会出席者◆

■モデレーター:岩佐文夫
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)編集長

●小笠原記子氏
2015年度修了生 株式会社ウルシステムズ シニアコンサルタント

●松田光憲氏
MBA本科生 株式会社はてな コーポレート本部 人事・総務部長

●徳野仁子氏
MIPM(知的財産マネジメント)本科生 株式会社資生堂 技術知財部 特許2グループ

●河野純範氏
MBA本科生 キユーピー株式会社 知的財産室 特許グループ 弁理士

 

岩佐 皆さんは社会人になってから、忙しい日々の中で大学院に通っています。学費もかかるし貴重な時間も使う。K.I.T.で学ぼうと思ったきっかけは何ですか?

モデレーター:岩佐文夫
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー(DHBR)
編集長

河野 会社では知財の仕事をしているのですが、弁理士の資格を取ったことで、専門知識があると仕事が楽しくなることに気づきました。さらに経営を学ぶことで、知財の知識を経営に活かせるのではないかと考え、自らに投資することにしました。

松田 私の場合は三谷宏治教授(注1)の本がきっかけです。書評で絶賛されていた『経営戦略全史』を読んで感銘を受け、三谷教授の授業を受けたい一心で入学しました。私はもともと理系のエンジニアですが、今の仕事は人事・総務。ただの勉強ではなく、実務に即した学びを体験したいという思いもあり、実践的カリキュラムが豊富なK.I.T.を選びました。
 

出席者:河野純範氏

徳野 私の前職はフランス系の消費材メーカーで、日本の知財担当者として採用されました。担当者は私一人しかおらず、疑問があっても質問できる人がいない。そのため知識をインプットしなければ、という切実な理由がありました。自らの付加価値を上げたいという思いもあります。知的財産マネジメントの修士(MIPM)の学位が取れるのは国内ではK.I.T.だけ、それが選択の理由です。

小笠原 子どもが2人いるので、コンサルタントの仕事に元通り復帰するには今までの延長では太刀打ちできないという強い危機感を持っていたことが理由の1つです。もう一つの理由は純粋に経営戦略に対する好奇心です。仕事を通じては習得できない知識やスキルを身につけて自分に付加価値をつけたいと考えていました。そんなとき、育休中にたまたま出会った三谷教授の話に感銘を受け、K.I.T.を選びました。

注1 三谷宏治教授
アクセンチュアで戦略グループ統括の経歴を持ち、著書『経営戦略全史』はビジネス書2冠を達成した人気の教授。三谷教授のゼミを目当てに受講する学生も多い。

 

岩佐 大学院に通うことになると、何かしらの時間を削ることになりますよね。皆さんは何の時間を削りましたか?

河野 趣味の時間を削り、大好きなビリヤードを2年間諦めました。1年目は授業だけで週9時間、予習を含めると週20時間は勉強に割いていました。仕事上では、仕事の効率を上げたことで、残業時間が減りました。週末も半分は授業があるため、家族の協力があってこそだと思います。

出席者:松田光憲氏

松田 私も走ること、マラソンを諦めました。睡眠時間を削るのは皆さん共通だと思いますが、毎週土曜にゼミがあるので特に金曜日は眠れません。手を抜こうと思えば抜けるので、結局は自分次第だと思います。河野さんと同様、仕事の効率は上がったと思います。

徳野 前職の職場が半蔵門だったので、忙しくても通学は比較的に楽でしたが、友だちと会ったり遊んだりする時間、プライベートな時間は確実に減りました。今は転職して職場が少し遠くなってしまった。どうしようかと思案しています。

小笠原 私もやむを得ず家族との時間を削りました。その反面、仕事も子育ても学業も平行してやりきった経験は、特に仕事をする上での生産性を上げるスキルに繋がったと私も実感しています。

岩佐 残業ができないぶん、仕事の生産性が上がるという話はよく聞きますね。実際にK.I.T.に入学して、期待以上に収穫があったと思うことはありますか。期待外れの部分があれば、その点も教えてください。

河野 期待以上だったのは、実践に役立つこと。自社課題に取り組む授業があり、教授からその課題についてのフィードバックもある。自分1人では考えつかない案も出てきて、実際に社内で動かしている案件もあります。知財と経営の授業が、もう少し連動してくれるといいのですが、教授陣はどんな質問にも答えてくれます。

出席者:徳野仁子氏

松田 期待外れは、お世辞抜きにありません。社内研修では、授業で学んだことを応用しています。研究テーマは組織開発ですが、三谷教授とディスカッションしながら、自社で試して効果を測ることの繰り返し。私の場合、授業と仕事は完全に一体化しています。

徳野 私の専攻は知財ですが、来年は経営の科目も取る予定です。K.I.T.では、様々な科目を自由に取れるのが魅力です。自分の業界とはまったく関係のない事例や、実務で使わない知識でも、何かしら役に立つことがあります。大学院の授業料は高いので躊躇しましたが、今では払う価値があると納得しています。

出席者:小笠原記子氏

小笠原 実は入学前の段階ではMBAの勉強が本業にどれほど活かせるのかよく分かっていませんでした。ですが卒業した今はっきり言えることは、授業を通じて習得した根本的な考え方は、たとえ経営に直結しない仕事だとしても確実に役に立つということです。事業会社に勤務している院生たちとの交流を通じて、今までにない視点を得られたことも期待以上の収穫でした。K.I.T.はアットホームですが、院生同士のネットワークには程よい距離感がある、そんなところも気に入りました。  
 

<PR>