組織の矛盾を受け入れよ

 ジャック・ウェルチはかつて、最高のリーダーは「堅物で退屈」な人物だと主張した。経営論の専門家たちも大筋でこれに合意していて、判断に一貫性があり、約束を忠実に守り、全体方針を遵守するのが優秀なリーダーだと認識されている。

 問題は、私たちがいくらリーダーの一貫性を尊んでも、私たちが生きるこの世界では(少なくとも長期的には)それが報われないということである。

 リーダーたちが相矛盾する課題を抱えていることは誰でも知っている。彼らは既存の商品をこつこつ改良することに迫られる一方で、新たなビジネスモデルに基づいて従来とは抜本的に異なる新商品を発明しようとしているかもしれない。あるいは、グローバルなネットワークを目指しつつ、地域特有のローカルなニーズにも対処しようとしているかもしれない。