クレジットカード会社の基幹システムの構築や流通業向けITソリューションに強みを持ち、国内トップシェアのデータ連携ミドルウェア「HULFT」も提供するセゾン情報システムズが、富士通ラーニングメディアの協力を得て、新入社員研修の大きな方向転換を図った。その狙いを、2人のキーマンに聞いた。
事業戦略の転換に合わせて
新人研修を180度転換

小山 当社は2017年3月期からスタートした新しい中期経営計画で、「カテゴリートップの具現!」というビジョンを掲げました。つまり、特定の分野において、ダントツの存在感を発揮するということです。
これまではお客様のご要望に応じてシステムを構築するという、どちらかといえば受け身のビジネスが中心だったのですが、昨今は多くのお客様企業が非連続な事業環境変化への迅速な対応を求められています。私たちはお客様の事業戦略を読み解いて、その戦略をIT技術で素早く実現するソリューションやサービスをプロアクティブに提案、構築することで、お客様の事業成長に貢献していかなくてはなりません。そのために、私たちは注力すべき事業分野を明確にし、オリジナリティあふれる製品、サービスを創出できる事業基盤を確立しようとしています。
こうした戦略転換を図るには、組織風土や人材を刷新することも重要で、この春の新入社員から採用戦略を大きく転換しました。システム設計をお客様のニーズや要件に基づいて円滑に進めるために、従来は理系・文系を問わず、コミュニケーション能力の高さを重視して採用していたのですが、今年の新入社員は理系・情報系の大卒と高等専門学校卒に絞りました。つまり、ITの基礎的な素養があり、ものづくりに興味のある人材を採用したのです。それにあわせて新人研修も大きく転換しようと、富士通ラーニングメディアさんに相談を持ちかけました。
栗山 これまでは、ビジネスマナーを含めた社会人としての基本と、ITの基礎をしっかり身につけてもらう研修を提供させていただいていましたので、小山さんから最初にご相談いただいた時は正直、戸惑いもありました。
サービスデザインやアジャイル開発を、POC(概念実証)を通じて体験・習得するという、従来とはまったく異なる研修を想定しておられたからです。
小山 当初は社内でも、従来のように基礎をしっかり身につけさせる研修をしてほしいというリクエストはありました。しかし、会社が大きく変わろうとしているのに、研修が従来と同じでいいのかという思いが強く、経営トップの後押しもあって思い切って舵を切りました。