求める人材像は
「攻める」「楽しむ」「とんがる」

 3ヵ月間に渡る研修は、新入社員たちがチーム単位で新しいIoTサービスを企画し、その製品プロトタイプを作成するというものだった。プロトタイプ作成に必要な知識やスキルも自ら学び取るのが基本。講師に教わる研修から、180度の方向転換である。

小山 研修では「人がやっていないことを実現する」「IoTとクラウドを使う」などの条件を設定したうえで、「カテゴリートップになれるIoTサービスを開発してほしい」と指示しました。

栗山 講師主導ではなく、受講者主導で進む研修ですから、ゴールを明確化しておく必要があります。そのために、この研修を通じてどういう人材になってほしいのかということを、繰り返し発信し続けました。そのポイントは3つ。「攻める」「楽しむ」「とんがる」です。それができていれば、新しい価値を創造する力とやり抜くマインドを兼ね備えた人材になれるはずだ、と。

 もう一つ留意したのは、この研修を通じて新入社員の皆さんがどう成長しているかを、先輩社員の方たちに実感していただくこと。そのために、プロトタイプ作成の中間レビューに当たるプレゼンテーションには、人事部門だけでなく現場部門の社員にも参加していただきました。先輩方からは新入社員のプレゼンに対して、厳しい指摘と積極的なアドバイスの両方がありましたが、一緒に育てている意識を持っていただけたと思いますし、配属後に新人の皆さんを受け入れてもらいやすい環境づくりにつながったのではないかと考えています。

小山 新入社員たちにはビジネスチャットツールを使って先輩の知識を活用しなさいと当初から指示していました。そうしたコミュニケーションを通じて、会社が研修の方向性を大きく変えたことを、従業員全体に理解してもらう狙いもありました。

アクティブに活動し
期待以上の成果を生み出す

 新しい研修の成果は予想を超えるものだった。経営陣や先輩社員たちの反応に、人事部門としては大きな手応えを感じている。

小山 研修ではチーム単位で予算を設定し、その予算の使い方も時間の使い方も自分たちで考えなさいと、自主性に任せました。お客様がどんな課題を抱えているか、先輩を通じて聞くぐらいだろうと思っていたら、自分たちでお客様のところまで足を運ぶチームもあれば、街に出てアンケートを取るチームもあったりと、想像以上にアクティブでした。秋葉原の電気街でいろいろなセンサーを買ってきて、それをシステムに組み込むチームもありました。

 単にプロトタイプを開発するだけでなく、実際にサービスインするには投資にいくらかかって、いつ回収できるのかという事業計画も策定させたのですが、最終プレゼンの出来映えは予想以上でした。介護サービス、スマートショッピングカート、デジタルサイネージなど、十分市場性があると思えるレベルのものを開発してくれました。経営陣も驚いていて、人事部門としては「してやったり」という感じでした(笑)。

 先輩社員たちからは「新しい研修は、おもしろそうだ」という感想をよく聞きました。新しいことにチャレンジするのはおもしろいという雰囲気が先輩たちにも伝わったのではないかと思います。

 最終プレゼンを終えた新人たちは、口々に「楽しかった」と言っていました。晴れ晴れとした表情で、やりきったという満足感を漂わせている彼らを見た時、何よりも大きな手応えを感じました。

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