最後に、5つ目の反応としては、「商品もチャネルも、すべてが当社の差別化要因である」「うちはあらゆる顧客に価値を提供している」といった、フォーカスを絞ることに対する拒否感情があります。
我々はよく「way to play」という言葉で表現するのですが、どこで勝つのか、そのためにどんなケイパビリティが必要なのか、そういった議論が不十分だと、結局、「あらゆることをなるべく安くやる」という結論となり、どこにも競争優位がないままただ競争は続く、という苦境に陥ってしまいます。
サッカーに例えれば、堅守速攻で勝つのか、それともオールコートでプレッシャーをかけて球を奪い、パスをつないで勝つのか。そうした「way to play」の違いによって、揃えるべき選手も、どういう練習をすべきかもまったく変わってくるはずです。
仮にある業界において総合的にサービスを提供していることが存在意義であるとしても、本当に勝たなければならないサービスにはリソースを集中配分する一方、ラインアップとして用意できていればいいサービスは他社と連携して低コストで提供するといったメリハリの付け方もあるはずです。
ここまで述べた5つの反応から浮かんでくるのは、コスト削減に関わる取り組みや組織のあり方が「正しくない」がゆえに、せっかくかけている労力がムダなものになっているのではないか、という疑問です。ここで「正しくない」というのは、企業の戦略上、「正しくない」ということであり、だからこそ「成長のための最適化」という視点を加えることで、「正しい」取り組み、組織のあり方へと転化できるはずです。
実際、私が日本で支援している複数の事例では、戦略に基づき「なぜ行うのか」について理解を得たうえで着手することによって、より前向きかつ建設的な議論と取り組みが進んでいます。
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