前向きな戦略策定と
その実行法を具体的に示す
──『成長への企業変革』を手にした人たちの反応はどうですか。
非常にポジティブな反応が多いですね。単なるコスト削減は後ろ向きな動きととらえられますが、本書は成長のための前向きな戦略策定とその実行法を具体的に示したものだからだと思います。「やりたかったのは、まさにこういうことだ」という感想を多くの経営者からいただいています。
「成長のための最適化」のフレームワークで企業変革に着手する場合、「自社を差別化するケイパビリティは何か」という議論からスタートします。実際に議論を始めると、それについて社内での合意、共通認識がなかったという問題が浮かび上がることがあります。必要なケイパビリティがはっきりと定義されていなければ、戦略とコスト削減を結びつけることはできません。「この本を読んで、自社にとって本当に大事なケイパビリティは何かをあらためて深く考え直す、いいきっかけになった」というお声もありました。

大きな環境変化に直面し、儲け方の仕組みをこれまでと変えなくてはならない、それを再構築する必要があるという課題は多くの経営者が認識しています。その一方で、過去の成功体験やそれを支えたインフラなどの資産が足かせとなっており、成長への道筋が見えないというジレンマも抱えています。あるいは、成長に向けた投資の原資がないという現実に悩んでいる経営者も少なくありません。
だからこそ、コスト削減によって得た原資を元手に、成長を実現するためのケイパビリティに投資するという「成長のための最適化」のコンセプトが、経営者の心に響いているのだと思います。自社を差別化するケイパビリティを定義し、必要な投資と不要なコストを判断して、社内の全部門を納得させられるのは、経営者しかいません。そのことが本書を読み進めば自ずとわかってくるはずです。その意味で、経営者を鼓舞する、応援の書でもあると私たちは考えています。