企業向けの組織開発や人材育成の研修・コンサルティングを行っているNEWONE(ニュー・ワン)では近年、エンゲージメントについてのコンサルティングの依頼が増えているという。その背景には、働き方に対する考え方が大きく変わってきていることがある。

NEWONE
代表取締役社長
上林周平 SHUHEI KAMBAYASHI

大阪大学人間科学部卒業。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)に入社。2002年に株式会社シェイク入社。企業研修事業の立ち上げ、商品開発責任者を経て代表取締役に就任。17年9月に株式会社NEWONEを設立。

「今、働き方というものが大きく変わってきています。働き方改革が叫ばれているということもありますが、一方で人々の労働観も変わってきている。そんな中でエンゲージメントの重要性が高まっています」とNEWONEの上林周平社長は言う。同社は企業向けの組織開発や人材育成の研修・コンサルティングを行っているが、近年、エンゲージメント向上についてのコンサルティングの依頼が増えているという。その背景として、上林社長は次の三つを挙げる。

 一つ目は、人材の流動化が進む中でどうやって優秀な人材の離職を防止するかに企業が腐心していること。

 二つ目は、テレワークなど働き方が多様化する中で、目の前にいない社員をどうやってマネジメントすればいいのか、多くの企業が悩んでいること。

 三つ目は、生産年齢人口が減少する中、どの企業も社員一人一人のパフォーマンスを高めて組織の生産性を高める必要性に迫られていること。

 同社ではエンゲージメントを「組織に対する自発的な貢献意欲や、主体的に仕事に取り組んでいる心理状態」と定義しており、優秀な人材を引き留め、互いに姿が見えない環境でも社員が自律的に働き、組織の生産性を向上させるためには、エンゲージメントの向上が不可欠だと考えられるようになったのである。

 また、昨今の労働観の変化もエンゲージメントが注目される一因となっている。「かつてモノがあまりなかった時代には、どんな仕事であっても働いてお金を稼ぎ、モノを得て豊かになることで達成感が得られました。しかしモノがあふれ、むしろ消費を嫌う時代となった今、『自分らしく、意味のある仕事をしたい』と強く考えるようになってきている。15年ほど新人研修をやってきましたが、この3年ぐらいの若い人たちの意識の変化は大きいですね」(上林社長)。