人材を「集団」で括らず
顔のある「個」として評価する
終身雇用、年功序列制度に支えられたこれまでであれば、研修、評価、異動といった教育・キャリア形成を全従業員に均一的に行っていれば良かった。
しかし「インターネットの到来で産業構造がシフトしている時代においては、従来の均一的な人事制度は限界にきており、従業員を埋没させずに活躍の機会を与え、生産性を上げていく必要がある。そして、これまでなら常識外れとも思われる優秀な『個』を組織の中から見つけださないといけない。そういった課題に対し、カオナビのようなツールを活用することが考えられます」(佐藤副社長)。
一例を挙げよう。カオナビを導入しているあるエンタテイメント企業の創業社長は、社内の若手との飲み会に出る際にスマートフォンのカオナビのアプリからメンバーのプロフィールを確認して、一人一人に名前で呼びかけ、「君は○○大学の○○学部だそうだけどどんな研究をしていたの? なんでうちに来たの?」などといったプライベートな話を振るようになった。そもそも若手社員にはその社長の下で働きたいという理由で入社した人が多い。こうした会話を通じて自分が「個」として見られていると感じることで、社員のエンゲージメントも高まっているという。
このような自分を「個」として見てほしいという欲求は、特にミレニアル世代と呼ばれる20~30代前半の層や優秀な人材ほど強いという。つまりこうした人材を「個」としてきちんと評価しないと企業は優秀な人を逃してしまうリスクが高まるのである。
では、どうすればそうした人材の欲求を満たすことができるのか。ポイントは三つあると佐藤副社長は言う。
「一つ目は、顔と名前が一致するなど、会社と自分との関係やコミュニケーションがカスタマイズされていること。ですから『営業部の若手は……』『○年入社は優秀だけど今年の新卒はダメ』などと一括りにされるのを最も嫌います。二つ目は、プロセスがオープンであること。なぜ自分に対する評価はこうなるのか、といったプロセスをオープンにして納得感を得ることが求められます。三つ目はリアルタイム性。今起きている問題をリアルタイムで把握してすぐ対処できないと、できる人材は辞めていきます」
この三つのポイントを満たすことがエンゲージメント向上の鍵であり、それを実現するためにテクノロジーをうまく活用することができる。その一つがカオナビなのである。