革新を続ける伝統企業に見る
3つのリーダーシップパターン

 指揮管理型(コマンド・アンド・コントロール)のリーダーシップを心から勧める人は、昔から誰もいない。だが、これに完全に取って代わる選択肢も現れていない。それは一つには、経営幹部クラスの人間が自分の振る舞いを変えるべきか、態度を決めかねているからだ。

 彼らは、会社がもっと革新的になる必要があることをよくわかっている。そして、権限を部下に委譲し、意思決定や資源配分を任せないと、それがかなわないとも思っている。しかし手綱を緩めたら、会社が大混乱に陥るのではないかと恐れている。

 我々マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究チームは、絶えざるイノベーションの実績を持つ組織が、そうした葛藤をどのように解決しているのかを知ろうとした。変化が激しく先が読めない環境におけるリーダーシップの研究では、俊敏さを高めようとする伝統的な官僚組織か、歴史の浅い起業家的企業に焦点を当てるケースがほとんどだったが、我々はやり方を変えて、次の2つの組織を詳しく調べることにした。