ストレスや不安のない慣れ親しんだ心理的空間をコンフォートゾーンと呼ぶ。そこから一歩踏み出して新しいことにチャレンジしようとする時に最大の障壁となるのが、自分にはその価値も能力もないという不安だ。

 多くの人が感じるこの恐れを「インポスター症候群」という。自分は資格のない偽者(impostor)だという感覚である。

 私も、ブログや本に文章を公開する時、そのような不安を感じる。初めて大学で教えた時や、ビジネス界のお歴々に講演をした時にも感じた。はた目には自信ありそうに見えるかもしれないが、内心では不安で、人前で偉そうに話す自分は何様だ、と自問してしまう。全員の期待に応える話をすることなど無理だと思うことがある。