AI時代は競争ルールが激変する
2019年、アント フィナンシャル サービスグループの誕生からわずか5年後のこの年、同社サービスを利用する消費者の数は10億人の大台を突破した。
アリババグループ(阿里巴巴集団)からスピンアウトしたアント フィナンシャルは、同社の中核を成すモバイル決済プラットフォームのアリペイ(支付宝)で得られるデータと、人工知能(AI)を駆使している。消費者金融からマネーマーケットファンド(MMF)、ウェルスマネジメント、健康保険、信用格付けサービス、さらには消費者にカーボンフットプリントの削減を促すオンラインゲームまで、驚くほど多様なビジネスを手掛けている。
米国の最大手金融機関と比べると、同社は10分の1未満の社員数で10倍以上の消費者にサービスを提供する。その評価額は、2018年に実施された最新の資金調達ラウンドの時点で1500億ドル。これは金融サービス業界で世界一の評価額を誇るJPモルガン・チェース・アンド・カンパニーの半分に迫る規模である。