経営者が日常的に下す意思決定の根拠は意外にあいまいだ。個人的な経験の過大評価や、話題の経営手法をそれだけの理由で安易に導入するケースは珍しくない。実効性が定かでないにもかかわらず、いかがわしい秘策や、生かじりの解決法を経営者に勧める人々も後を絶たない。ここ十数年、医療分野では、最新かつ最善の科学知識に基づく医療行為が急速に広がり、効果を上げている。いわゆるEBMだ。同様に、本当に効果がある経営手法は、実は簡単に手が届くところにある。にもかかわらず経営者は、そうした情報をまだ十分に活用しているとはいえない。