機能不全の米国政治システム

 ワシントンDCでは、主義主張が特定の党派に偏る党派性と、停滞感がかつてなく強まり、連邦議会は泥沼の闘争に陥って成果を出せずにいるようだ。米国人の多くはもとより、全世界の目には、米国の政治システムは度を越した不合理と機能不全に陥り、もはや修復不能であるように見えるだろう。

 共和・民主両党が先頃、新型コロナウイルス感染症の蔓延によって被害を受けた経済を安定させるために、大型法案を成立させたのは確かである。ただしこれを、政治システムそのものに関する明るい兆しと誤って受け止めるべきではない。実際には、お馴染みの状況が起きているのだ。2大政党が「何とかしなければ選挙で共倒れになる、相互確証破壊が起きるのではないか」と恐れ、国家的危機に際して党派の違いを超えた一致協力を装っている。

 両党は危機対応について合意し、その成功を広く喧伝しているが、裏では密かに、将来世代への負担の先送りを申し合わせている。現在の危機が和らいだなら、議会はいつも通りの瀬戸際政策に戻り、目の前にある数々の課題を解決することも、将来の危機を防ぐこともできないだろう。