アメリカは深刻な課題に直面している

 アメリカ経済が、これまでになく深刻で長引く不況から立ち直るのに苦闘しているのは明らかである。それを我々は日々再認識させられる。

 しかしアメリカは、さほど目立たないが、もっと根本的な課題にも直面している。すなわち、国家が国民の生活水準の向上はおろか、その維持さえも永遠に実現できなくなるような、一連の構造的変化である。政府とビジネス・リーダーが景気減速だけに対応して、もっと根の深い課題に直面するのを怠れば、結果は長期的展望に乏しい景気回復に終わるだろう。

 この1年間、我々はさまざまな研究者、世界じゅうのビジネス・リーダー、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の卒業生たちの支援の下、初の包括的なアンケート調査を実施し、アメリカの競争力について調べてきた。その研究から示唆されるのは、アメリカが深刻な課題に直面していることである。政府や実業界のリーダーたちは、この国の数多くの強みが無になるような行動を取ることがあまりに多すぎた。