
微生物の力でゴミからエタノールを生成するバイオリファイナリーのプラント
循環型社会の実現を目指して開発したゴミからエタノールを作り出す「バイオリファイナリー」技術の社会実装に関しても様々な自治体や企業とパートナーシップを組んで進めていきたいと考えています。
こうした製品は通常の製品よりも付加価値が高いため、売上高比率を高めていくことが利益の拡大、企業成長につながります。サステナビリティ貢献製品の売上高比率は19年度末現在58%まで拡大していますが、22年度末には売上高を8000億円まで拡大し、65%に引き上げる予定です。
また、当社の新製品に対するデザインレビュー(DR:設計審査)は4段階(DR0~4)ですが、最初のDR0でその製品が社会課題解決に役立ち、事業として成立するかを審査しています。ですから、営業や開発担当者はお客様の社会課題の把握やその解決に真剣に取り組んでいます。前述の製品もお客様の協力の下に生まれました。お客様との長期にわたる信頼関係やマーケティング力、多種多様な技術が当社の財産となっています。
新たなKPI設定で
全社一丸となった取り組み
──「Vision2030」では業容倍増(売上高2兆円・営業利益率10%以上)を目標に掲げています。達成のためには何がキーになると考えていますか。
「攻めのESG経営」は今述べた通りですが、一方で「守り」も重要です。サステナブルな社会の実現のためには、経営の持続性が企業に求められます。そのため、当社では経営に大きな影響を及ぼす重大インシデントの発生を抑え込む一方、経営基盤の強化によって長期的な資本コストを抑制し、持続経営力を高める取り組みを行っています。
具体的には、工場の火災や品質偽装、システム障害などの重大インシデントにつながるリスクを早期発見し、解決するための仕組みを強化。併せて、資本コスト抑制を目的としたESG投資枠を設け、DXや再生可能エネルギーへの投資、働き方改革など、持続経営力を高める施策を進めています。
加えて、企業価値を測る新たなKPIとして「セキスイ・サステナブル・スプレッド」を設定しました。売上高・営業利益率、資本効率を上げることと、広義の資本コストを抑えることでスプレッドの拡大=企業価値の向上となるスキームを作りました。この数値が上がれば持続経営力が強化され、企業価値が向上しているとみなします。
このKPIには、ESGに対する従業員の共感や参画意識を高める効果も期待しています。例えば、開発や営業担当者はサステナビリティ貢献製品の開発や販売がESG経営への参画となります。また、工場オペレーターは効率を向上させる、経理担当者は不正会計を防止する、品質管理者は重大な品質瑕疵を防止する努力がESG経営への参画になります。従業員の業務とKPIのつながりを明確にすれば、持続経営力の強化や企業価値向上に寄与していることを実感できるようになります。
ESG経営についての理解や、自分事化のきっかけとして、社長をはじめ経営層が従業員と直接対話しメッセージを伝えるビジョンキャラバンの機会を大切にし、グローバルで展開しています。
当社においてESGは「仕事そのもの」。従業員一人ひとりが仕事を通じて社会課題解決に貢献し、全社一丸となってESG経営を進めていきます。
積水化学工業株式会社
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