経営幹部の報酬と業績の関係
経営幹部の報酬のあり方は、企業に決定的な影響を及ぼす。報酬が慎重に定められれば、幹部の行動が企業の戦略に沿ったものとなり、業績の改善につながる。しかし、それがうまく行われないと悲惨な影響が生じる。重要な人材が失われ、モチベーションが低下し、目標がバラバラになり、株主へのリターンも少なくなる。影響が大きいだけに、取締役会や経営陣にとって、適切な幹部報酬を定めることは非常に重要である。
この課題に多くの企業が苦労している。問題の一つは、あらゆる状況で活用できるベストプラクティスがわずかしかないことだ。したがって、企業は戦略を明確にするところから始め、企業のリーダーは報酬の基本的な点について理解し、報酬を望ましい結果にどうやって結び付けていくかを理解しなければならない。
本稿では、筆者らの研究や経験をもとに、企業が経営幹部の報酬にどのように取り組んでおり、それを業績向上に活かしている企業はどのような手法を用いているかを説明する。筆者のうち2人(グロイスバーグとアボット)は10年以上にわたって報酬について研究してきた。他の2人(マリーノとアクソイ)は、両者合計で30年以上、さまざまな企業に幹部報酬に関するアドバイスを提供してきた。