
DX推進の大きなネックとなっているデジタル人材不足。最近では、社内育成を強化する企業が増えている。一方、人材は育っても、それを十分に生かし切れず、思うようにDXが進まないケースもあるようだ。こうした課題解決をトータルに支援しているアイデミーの石川聡彦氏に、デジタル時代に競争優位をどう築くべきかを聞いた。
DX人材を社内育成する
そのメリットとは
内閣府によれば、国内の先端IT人材の不足は2030年に約60万人、また経済産業省の調べでは、AI人材の不足は同じく30年で14.5万人に上ると推計されている。こうした先端IT・AI人材不足が、日本企業のDX推進を妨げる大きなネックとなっている。
「外部からの人材採用だけでは限界があるので、最近では社内でDX人材を育成しようとする動きが広がっています」。そう語るのは、アイデミー代表取締役執行役員社長CEOの石川聡彦氏である。

石川聡彦
代表取締役執行役員社長CEO
同社は、DX人材を社内育成するためのクラウド型教育・研修ツールと、DXプロジェクトの内製化を支援するコンサルティングサービスなどを提供している。教育・研修ツール「Aidemy Business」については、大手企業を中心にすでに200社以上で導入の実績がある。
石川氏は、DX人材の社内育成に取り組むことは、「デジタル技術と業界特有の知識を兼ね備えた人材を確保できるメリットがあります」と提言する。
そして、社内育成のもう1つのメリットが、より多くのDX人材を確保できる点だ。「外部採用で確保できるのは数人、数十人のレベルですが、数百人、数千人単位の社員が働く製造現場、営業現場などのデジタル化を推し進めるには、ひと握りの専門人材を配置するだけでは不十分です。全社員をDX人材にする必要はありませんが、デジタルリテラシーを持った人材があらゆる部門や現場に定着している環境を目指すことが、DXの大きな推進力となります」(石川氏)。
実際、アイデミーでもここ2年ほどは、技術者だけでなく、社内の管理職や企画職、営業職などにデジタルの知識を学ばせたいという相談が増えているという。
そうしたニーズに対応して、Aidemy Businessでは入門から上級レベルまで、受講者の学習目的に応じた豊富なコンテンツを用意している。たとえば、機械学習や統計学といったDX人材向けの講座だけでなく、AIを使ったビジネスプランニングやデジタル人材をマネジメントする管理職向けの講座なども用意されており、コンテンツ数は100以上に及ぶ。「新たな講座を毎月増やしており、また、既存のコンテンツも進化する技術トレンドに対応して絶えずアップデートしています」。
DXに特化したコンテンツをこれほど豊富に提供しているオンライン学習サービスはほかになく、これが累計登録ユーザー数11万人超という実績を支える大きな要因の1つとなっている。
また、学習コンテンツを提供するだけでなく、ユーザー企業ごとのDX戦略に合わせて、どの部署の、誰に、何を学ばせるのかといった全社的な学習プランを提案できるのも、アイデミーの強みと言える。
「ユーザー企業ごとに当社の専任担当者を配置し、課題やご要望をうかがったうえで、セミオーダーのカリキュラムを提供しています。また、隔月で当社主催のユーザー会を開催しており、ユーザー企業同士で効果的な学習方法や人材育成法などについて活発な情報交換が行われています」