オープンイノベーションができるのは都会の大企業だけ――そんな固定観念を打ち破る支援サービスを提供するのがCreww(クルー)だ。地域の中核企業や中堅・中小企業向けに、スタートアップとのオープンイノベーションのノウハウをシステム化したクラウド型支援サービスを提供。低予算で多種多様なスタートアップと接点を持つことができ、協業提案を集めることができる。

成功のためのノウハウを誰でも使えるシステムに

 コロナ禍による社会や消費スタイルの急変とともに、企業は待ったなしの変革に迫られるようになった。

 特に地域の中核企業や中堅・中小企業の多くは、以前から既存事業の行き詰まりや、業務のデジタル化の遅れなどに悩んでいたが、コロナ禍によって、問題はさらに深刻さを増している。

 だが、中堅・中小企業の場合、コンサルティングファームなどに高い費用を払って、事業変革やデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進するのは困難である。

 そうした中、注目を集めているのが、企業がスタートアップと協業するオープンイノベーションである。顧客基盤や経営資源を提供し、スタートアップの革新的な技術やアイデアを掛け合わせることで、比較的安上がりに事業変革やDXを推進できる。

「オープンイノベーションでは大企業が有利だと思われがちですが、決してそんなことはありません。もちろん、顧客基盤や経営資源が充実した大企業と組むことはスタートアップにとって魅力的ですが、その半面、決断に時間がかかるケースや、最終的な経営判断で当初の想定と違う結果になってしまうリスクもある。逆に地域の中核企業や中堅・中小企業の方が比較的に決断は速く、事業化も進みやすい傾向があるので、大企業よりも好まれる場合もあります」

代表取締役CEO
伊地知 天
Sorato Ijichi

 そう語るのは、10年近くにわたって数多くの企業のオープンイノベーションを支援しているCrewwの伊地知天(いぢち・そらと)代表取締役CEOである。

 同社は、大企業だけではなく、地域の中核企業や中堅・中小企業向けに、オープンイノベーションのノウハウをシステム化した「Creww Growth(クルーグロース)」というクラウド型オープンイノベーション支援サービスを提供。

 通常、企業がオープンイノベーションを行う場合、スタートアップを公募するプログラムを実施し、応募企業の中から自社の目的にふさわしい協業相手を選び、取締役会に報告して最終承認を得て、協業を進めていくというステップを踏む。これらのステップにおける〝成功ノウハウ〟がシステム化されているのが、このサービスの大きな特徴だ。