「責任ある変革者」という2030年ビジョンを掲げ、エネルギーの安定供給とともに、社会課題の解決に貢献することを目指す出光興産。2022年には自社開発した超小型EV(電気自動車)を用いた次世代モビリティサービスの開始を予定するなど、既存事業の枠を超えたトランスフォーメーションに挑んでいる。

(左より)出光興産 モビリティ戦略室長 大石 朗氏、出光興産 執行役員 CDO・CIO 三枝幸夫氏、イグニション・ポイント デジタルユニット シニアマネジャー 鈴木紀暁氏

全国約6300カ所のSSを地域課題解決のハブに変革

 出光興産は、「責任ある変革者」という2030年ビジョンを掲げ、「カーボンニュートラル・循環型社会へのエネルギー・マテリアルトランジション」「高齢化社会を見据えた次世代モビリティ&コミュニティ」「これらの課題解決を可能にする先進マテリアル」を軸としたポートフォリオ転換によって、「地球と暮らしを守る」「地域のつながりを支える」「技術の力で社会実装する」の3つの責任を果たしていくことを目指す。

 「具体的な施策として、『CNX(カーボンニュートラル・トランスフォーメーション)センター』構想(注1)、『スマートよろずや』構想(注2)が挙げられます。いずれも、デジタルによるビジネス基盤がなければ実現不可能なものであり、会社全体のDX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略でもあります」と語るのは、同社執行役員CDO・CIOの三枝幸夫氏だ。CNXセンターとは、各種プラントを脱炭素化すると同時に、再生可能エネルギーやバイオ・合成燃料など次世代エネルギーの供給基地として機能させる構想である。

(注1)エネルギー・マテリアルトランジション分野に該当、(注2)次世代モビリティ&コミュニティ分野に該当
 

 また、「スマートよろずや」とは、全国約6300カ所の出光のサービスステーション(SS)を、住民生活を豊かにする新時代のよろずやへと変革する構想である。EVの充電や次世代エネルギーの供給に留まらず、ドローン配送や移動型の飲食・ヘルスケアサービスなどの拠点として、地域課題解決のプラットフォームに進化させる。

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全国約6300カ所の出光のサービスステーションを、住民生活を豊かにする新時代のよろずやに変革する