同社モビリティ戦略室長の大石朗氏は、「近距離の移動に最適で小回りが利き、最高速度は60キロというまったく新しいカテゴリーのEVで、運転に不慣れな人や高齢者にも安心して利用いただけます。公共交通機関が脆弱な地方や、観光客に移動手段を提供したい地域などを含め、移動の潜在的ニーズに応え、モビリティサービスの変革にチャレンジします」と意気込みを語る。2022年中には正式にサービスを開始する予定だ。

 ビジネスモデルの設計やサービスを支えるデジタル基盤の構築については、外部との協業・共創を積極的に進めている。そうしたパートナー企業の筆頭が、先進的なデジタルテクノロジーを活用したサービスモデルの創出・構築やコンサルティングに強みを持つ、イグニション・ポイント(IGP)だ。

 IGPデジタルユニットの鈴木紀暁氏は出光の新たなチャレンジについて、「CASE(注3)はモビリティに破壊的な変化をもたらす大きな潮流です。この流れに乗り遅れまいと周辺サービスの開発に取り組む企業は多いですが、ビジネスモデルを自己変革し、新たな流れをみずからつくり出そうとする出光興産様の挑戦は大胆で画期的なものですし、新たな価値創造に向けた大きな可能性を感じます」と述べる。

(注3)CASE:コネクテッド、自動運転、シェアードサービス、電動化の略。

オープン、フラット、アジャイルに実務を進める

 次世代モビリティサービスという社会的インパクトの大きいDXプロジェクトには、社内外のさまざまなステークホルダーが関わっている。軋轢が生じることも予想されるが、「責任ある変革者、地域課題の解決といったビジョンをたえず共有し、オープン、フラット、アジャイルな風土を醸成しながら、我々デジタル推進部門も実務に入り込んで、ともにチャレンジしています」と、三枝氏は力を込める。

 一方、大石氏は、「地域社会の課題やニーズをよく知る特約販売店との緊密なネットワークが出光の強みです。そこに当社のデジタルビジネス基盤やリテール施策、SSの人材力を組み合わせることで、最適なサービスを提供していきます」と抱負を語る。

 そして、DXパートナーであるIGPについて、「豊富な知見を提供してくれるだけでなく、プロジェクトに深く入り込んでくれている。今後も積極的に動いてほしい」(三枝氏)、「常に『事業を実現するためにどうするか』というスタンスで関与してくれるうえ、IGPの事業を通じた観光プラットフォームとの協働も提案してくれるなど、DXコンサルティング以上の価値を提供してくれることをとても心強く感じています」(大石氏)と期待を述べる。

 ステークホルダーと力強いスクラムを組む出光の変革は、これからも続く。

画像を拡大
出光興産はさまざまなモビリティサービスの開発に取り組んでいく

 

■お問い合わせ
イグニション・ポイント株式会社
〒150-0011 東京都渋谷区東1-32-12 渋谷プロパティータワー8F
URL:https://www.ignitionpoint-inc.com/