CMOを重視しない企業が増えているが……
CMO(最高マーケティング責任者)というポジションは、近年、時代遅れになりつつある。CMOは価値をもたらさないと主張する研究者もおり、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ウーバー、ハイアットなど、多くの企業がCMOのポジションを縮小、あるいは廃止している。
ところが、新たな研究でCMOは多国籍企業において重要な役割を担っていることが明らかになった。CMOは多国籍企業のグローバルな成長に貢献することができる。ただ、特定の条件下に限ってだ。
「多国籍企業は2つの大きな課題に直面している。ナショナリズムの高まりと国内市場の飽和だ」と、研究の筆頭著者でセント・ジョーンズ大学教授のV. クマーは言う。他のCクラスの経営幹部とは異なり、CMOはビジネスの第一線の専門知識を持っている。そして国際的な成長には、顧客とじかに接した経験が欠かせないとクマーは指摘する。また、CMOの責任は幅広く、戦略的・戦術的な意思決定も含まれるため、研究では彼らを知識の「メタ統合者」と呼んでいる。