取り組みを引っ張っていくリーダーシップが問われる
佐藤 実際にそうしたコラボレーションも行われています。たとえば、フランスでは、ワイン生産者とレストランがMiraklのSaaSを使ってつながったマーケットプレイスの例があります。
ワイン生産者はレストランに直接ワインを販売できるようになったのですが、レストランに出荷されたものでも中には売れ残るものもある。そこでマーケットプレイスのオペレーター(運営者)が、あるレストランの棚で眠ったままになっている在庫を、他のレストランへ再販することを促すサービスを行っているのです。

代表取締役社長
佐藤恭平氏
Kyohei Sato
慶應義塾大学総合政策学部卒、 同大学経営学修士(MBA)、ダートマス大学経営大学院交換留学。1998年SAPジャパン入社、eコマース(EC)事業の立ち上げに従事。ボストン コンサルティング グループ(BCG)戦略コンサルタント、日本マイクロソフト業務執行役員を歴任後、2016年SAPジャパンバイスプレジデント。2022年Mirakl代表取締役社長に就任。
岩谷 本来、常にワインの買い手であるレストランが、時には売り手になることをオペレーターが促すことで、新しい価値を生み出したのですね。
無駄な在庫がなくなれば、廃棄ロスが減るだけでなく、コスト削減にも結び付いてレストランは儲かる。一方、ワイン生産者も販売機会が増えて、消費者はおいしいワインを飲むことができる。オペレーターもワインを中心に置いた全体最適化で利益を得る。まさに“三方よし”の理想的なコラボレーションだと思います。さまざまなパートナーと協業できれば、バリューチェーンを中心とする製造業のビジネスモデルも大きく変わりそうですね。
佐藤 製造業でいえば、自社ECサイトで最終消費者に製品を直販するD2C(direct to consumer)に取り組むメーカーが増えていますが、ディーラーなど既存の中間流通業者と市場を奪い合ってしまうことが課題となっています。
自社マーケットプレイスを構築すれば、この課題も解決策として実行できます。中間流通業者もマーケットプレイスに迎え入れることで、互いの販売機会を分け合えるようになるからです。流通業者の在庫状況が「見える化」するので、生産量の調整や販売戦略づくりの精度も向上します。
──自社マーケットプレイスを成功させるための重要なポイントは何でしょうか。
岩谷 企業が独自のマーケットプレイスを持つのは、社会的意義のある取り組みだと思います。日本は人口減少や少子高齢化といった社会構造の変化に直面しながらも付加価値を生み出し、経済成長しなければなりません。
一つの企業だけでなく、多様なパートナーが協業して互いの価値を高め合うマーケットプレイスは、間違いなく個々の企業や日本経済そのものを成長に導く力になるはずです。ただし、それを成功させるには、日本企業には不得意だとされるグローバルでの仲間づくりや、これまでのやり方を根底から覆す取り組みに果敢に挑むチャレンジ精神が欠かせません。取り組みを引っ張っていく経営者のリーダーシップも問われます。
佐藤 岩谷さんが言うように、自社マーケットプレイスによる新しいビジネスモデルの構築は、これからの成長戦略の要です。ぜひ、経営者がその重要性を自分事として認識し、積極的にリードしていただきたいです。私どももメガプラットフォーマーに負けない仕組みを、巨額な投資なく実現するSaaSなどを通じ、日本企業の新しい成長を全力でサポートいたします。
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