「変化の先頭に立ち、最先端のその先にある技と知を探索し、未来を描き“今”を創る」――。マクニカが制定したパーパスには、未来への懸け橋としての挑戦と自負が示されている。それを象徴する事業の一つが、自動運転シャトルバスの社会実装を目指すモビリティ事業だ。そこからは商社から「サービス・ソリューションカンパニー」への事業強化を目指す決意も浮かび上がる。進化するマクニカについて紹介する3回シリーズの第2回をお届けする。
テクノロジープロバイダーだからできる
社会貢献型サービス・ソリューション
マクニカのパーパスは、創業50周年の節目を迎えた2022年2月に公表された。その狙いは、あらゆる領域でDX(デジタル・トランスフォーメーション)が必然的になる中で、マクニカとはどんな企業であり、何を得意とし、地球や社会にどのように貢献できるかを検証し、再定義することにあった。
それは半導体や電子部品、ネットワーク、セキュリティなど既存事業でも「ファーストペンギン」であり続けることを意味するが、「モビリティ」や「スマートファクトリー」「AI(人工知能)実装」などは、まさにパーパスの実現に挑む象徴的な未来事業群だ。
なかでもモビリティ、具体的には「自動運転シャトルバスの実用化」は、高齢化する地域社会の交通課題に貢献する本命技術と期待されている。仏NAVYA(ナビヤ)社製で15人乗りの自動運転バスをベースとする。すでに茨城県境町では自治体初となる公道での実用化をサポートしながら、今後はさまざまな自治体でオンデマンド運行も含めたMaaSの立ち上げにも挑む。

マクニカ・イノベーション戦略事業本部スマートモビリティ事業部長の可知剛氏は、「マクニカがモビリティ事業を手掛けるのは、ある意味で必然のことなのです」と語る。マクニカは2000年初頭から本格的に車載半導体市場に参入してきた。今やハイエンドモデルでは1台に100個以上、ミドルクラスでも50個を超える半導体が搭載される巨大市場に成長している。マクニカは、その技術的な変遷と、半導体が自動車の革新にどう貢献してきたかをつぶさに見てきた。それ故に半導体技術の活用を核とする自動運転に注目し、ビジネスを構築するのはパーパスの実現に他ならない。
「これまで自動車開発メーカー様へ最先端技術を提供する役割を担ってきましたが、自動運転シャトルバスに代表される最先端技術の社会実装支援の役割も求められるようになりました。私たちの“世界中の最先端技術を探索し”、“繋ぎ”、“実装する”力は、持続可能な社会実現のために必要不可欠なケイパビリティであり、マクニカの存在意義だと考えています」(可知氏)
マクニカは境町における活動だけではなく三重県四日市市と連携協定を結び、実証実験を開始している。そして地元の神奈川県横浜市でもスマートシティの創造に向けた連携を始めている。