
パナソニック コネクトはジョブ型人事制度の「新人材マネジメント」を導入し、人的資本経営を推進。人事方針は「社員一人ひとりの成功」を促し、「企業価値の持続的向上」につなげること。望むポジションに必要なスキルをUdemy Businessで学び、社内公募制度によってチャレンジする仕組みを設け、社員の自律的なキャリア形成を後押しする。Udemy Businessの利用拡大とともに、ラーニングカルチャーも醸成しつつある。
社員一人ひとりの成功と企業価値
持続的向上が人事の目標
パナソニックグループは2022年4月に一つの事業ドメインを一つの独立会社とする事業会社制へ移行した。そこで誕生した企業の一つがB2Bソリューション事業を担うパナソニック コネクトだ。事業会社制移行の狙いについて同社常務CHROの新家伸浩氏は次のように語る。
「私たちは“専鋭化”と呼んでいますが、独立会社とすることで専門性をよりいっそう高め、それぞれの市場やお客様に最大限の価値を提供していくのが狙いです。当グループでは事業戦略と人事戦略を連動させるため、人事制度も各社が独自に決めています」

執行役員 常務 CHRO
新家伸浩氏
NOBUHIRO SHINYA
同社が人事の目標として掲げたのは「社員一人ひとりの成功と企業価値の持続的向上」だ。
「当社では社員をCONNECTer(コネクター)と呼んでいますが、『CONNECTer一人ひとりの成功』の具現化を目指します。CONNECTer一人ひとりが成長し、生産性や会社の業績が向上することで、エンゲージメントや報酬も向上し、さらに企業価値が上がる。このサイクルを回し続け、企業価値の持続的向上につなげていく。これが当社の人事方針です」(新家氏)
その施策の一つとして2023年度から本格導入を予定しているのが、ジョブ型人事制度の「新人材マネジメント」だ。導入に伴う制度改革をリードする同社人事戦略室室長の杉本稚代氏は概要をこう説明する。
「目指しているのは、マネジャー(部課長)が事業戦略の達成に必要なポジションのジョブディスクリプション(JD)を定義し、そこに社員が自律的に挑戦していくという職務起点の人材マネジメントです」

人事総務本部
人事戦略室 室長
杉本稚代氏
CHIYO SUGIMOTO
マネジャーに権限を委譲し、事業環境の変化や課題・ニーズの多様化に迅速に対応するのが狙いだ。評価や報酬などもJDをベースに決められる。つまり、すべてが事業戦略と連動しているわけだ。
「新人材マネジメントを適切に運営するために最も大切なのは”自律性”です。事業環境が変わると事業戦略も変わり、社員に求められるスキルや知識も変わる。こうした変化に素早く対応するには自律性が不可欠です。コミットメントや成果が生まれやすいという効果も期待できます」(杉本氏)
目指すキャリアをみずから決め
必要なスキルをみずから学ぶ
具体的には「決める・学ぶ・動く」という3つのステップで、社員の自律的キャリア形成を実現する。まず、公開されているポジションのJD(役割や目標、求めるスキルなど)を閲覧し、目指すキャリアを決める。次に、そのポジションに就くために必要なスキルを学ぶ。最後は社内公募制度を利用し、望むポジションにチャレンジする、という流れだ。