「何がいやだといって、権力闘争に熱心だと思われることほどいやなことはない」

 これは、ある企業の幹部が私に漏らしたつぶやきだが、多くのトップリーダーが同じような気持ちを抱いているのではないだろうか。

 会社のお金を横領したり、賄賂を受け取って便宜を図ったり、不祥事に巻き込まれたりする経営者は、記事の見出しを飾り、当然のように嘲笑される。しかし、私たちが10年間続けてきた調査によると、悪をなさなくとも機能不全に陥ってしまった経営者もまた、それと同じぐらいに危険である可能性が高いことがわかっている。もちろん、数もそのほうがはるかに多い。