財務実績とESG実績が切り離されている

 近年、企業のESG(環境、社会、ガバナンス)要因の実績を評価する物差しの標準化・定量化は途方もない進歩を遂げた。また、ESG実績で評価の高い企業やESG目標に真剣に取り組む企業に対し、投資家の関心も急速に高まっている。それにもかかわらず、ESGに関する公約を掲げて有意義な歩みを続ける企業は驚くほど少ない。

 ワールド・ベンチマーキング・アライアンス(WBA)が調査対象とする2000社のグローバル企業を見ても、その大半が明確なサステナビリティ目標を持たず、また目標を掲げている企業でも、その達成に向け進んでいる例はごくわずかである。さらに、目標達成に向けて前進している企業でさえも、そのほとんどはのんびりと小さな変化を積み重ねているだけで、パリ協定や国連「持続可能な開発目標」(SDGs)の達成に欠かせない、戦略面・業務面の抜本的改革とはほど遠いのが実情だ。

 仮に企業がESG要因を自社の戦略や業務運営の意思決定に組み込みもせず、同時にESG実績の改善が企業収益にどのような影響を与えるのかを投資家に説明もしないままであれば、サステナビリティ目標に向けた歩みについて何かを語ったところで、それはよくてもせいぜい広報活動であり、悪くすれば意図的に誤解を与える行為である。