世界市場における米国の競争力は、最近20年の間に急激に低下した。低下が最も大きかったのは、鉄鋼、自動車、家庭用エレクトロニクス、既製服、工作機械である。また、米国経済の地位の低下は、いろいろな経済指標にも表われている。例えば、――

 世界のGNPや輸出にしめる米国の比率は、かなり低下してきている。

 米国の貿易収支は絶対額でもGNP比でも、悪化している(図1参照)。

 多くの米国企業は利益率と支払能力を低下させ苦しんでいる。

 操業率は大幅に悪化し、失業率は上昇している(図2参照)。

 このような傾向は、他の多くの指標が戦後の正常値に戻っているので、憂慮すべきものである。また、ここ4年、ドルは過大評価されているが、このような傾向は、ドルの過大評価以前からおきている。国際貿易で競争力を維持することは、今まで以上に重要となっている。例えば、米国の製造業における雇用の6分の1は輸出に直接かかわっているし、米国産品の70%以上は外国との競争にさらされている[参考文献1]。さらに、米国の問題は、このままでは、長期的には、おそらく悪化するであろうし、赤字財政によって経済は回復していても解決されていない。