新型コロナウイルスによるパンデミックで多くの働き手がリモートワークを余儀なくされると、マネジャーは生産性の低下を懸念した。2年以上経ったいま、その心配はほとんど杞憂に終わったとする研究結果が発表されているが、リモートワーカーの認知機能についてはどうなのか。研究チームは一風変わった実験環境に頼った。それはプロのチェスの試合である。

 研究者らは、世界チャンピオンのマグヌス・カールセンがパンデミック下に開催したオンライントーナメントを分析した。このトーナメントは、従来のオフラインの競技を正確に再現して構成された。ほとんどのプレーヤーは、国際チェス連盟の最近のトーナメントに少なくとも1回出場していたため、研究者らは主要なチェスエンジンの人工知能を使用して、20万以上の指し手とそれに付随するミスを評価し、プレーヤーそれぞれのオンラインと対面のパフォーマンスを比較できた。

 プレーヤーがオンラインで対戦した場合、プレーの質が平均で7.5%低下していた。研究者らは、その理由を特定できなかったが、おそらく周囲に仲間がいないことが原因だろうと述べている。